カテゴリー「32特集「建物の熱環境」」の記事

2012.10.01

仮設住宅での結露対策勉強会(2)

応急仮設住宅での結露問題から始まったこの話題ですが、ちょっと寄り道して参考にさせていただいた本のご紹介から始めましょう。

そもそも日本人の生活は間欠暖房であり、しかも局部暖房であるから、基本的に結露しやすい性質をもつ。またこの30年の間「断熱すれば結露はとまる」という単純な考え方がはびこり、結露の源である水蒸気の制御が忘れられている傾向がある。断熱さえすれば結露がとまると言えたのは、昭和30年代の非気密住宅の時代のことであり、昨今では「断熱と換気と住まい方のバランスがとれないと結露はとまらない」と言うべきである。結露という問題は、理論的に追求していくと、きわめて複雑、難解なものとなる。本書では、数理的になりやすい理論展開を極力避け、実用面から説くよう心がけた。専門外の方方にも理解されれば幸いである。
──「結露をとめる 」(山田雅士著,井上書院,1987年)より引用

元ネタは古いけど、結露の問題とその対処法に関しては、それほど議論に進化はないので、古くても分かりやすい方がありがたい...ということで、この本を例示しておきます。

それから、結露の問題と解決については、

この本も参考になりました。トラブル事例が豊富かつ、図面入りなので、結露事故事例集として使えます。事例をたくさん理解することで、どんな建物が結露に弱いかを身を以て体得することが可能です。
一度全部眺めておけば、結露を誘発しかねない建物を設計してしまう危険を回避できるかもしれません(読んでも、覚えてないとダメだけどな…)

さて。

前回の記事でご紹介した、編集長が作った仮設住宅における結露対策テキストをご紹介しときましょう。全9ページです。慌てて作ったものなので不完全な部分も多いですが、ご批判をいただいて、より役立つものにできればいいなあと思っています。

「結露をとめるテキスト」をダウンロード

クリック↑でPDF書類が開きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.09.28

仮設住宅での結露対策勉強会(1)

編集長は昨年9月より、毎月1回〜2回のペースで気仙沼市内に通っています。兵庫県の「兵庫県東日本大震災に係るひょうごまちづくり専門家派遣」の適用を受けて、復興まちづくりの専門家として、気仙沼市内の各地の地域の皆さんの、防災集団移転や住宅再建、復興まちづくりなどの相談に乗っています。

気仙沼には、ボランティアさんをコーディネートしたり、仮設住宅での生活の支援をしたりする活動を続けている「ボランティアステーションin気仙沼」という団体があり、編集長はこちらの活動のお手伝いも(時々ですが)しています。

ボランティアステーションin気仙沼の皆さんからは、冬を前にして、仮設住宅の結露問題が深刻であるというお話を伺いました。仮説住宅自治会へのアンケートでも半数以上の仮設住宅で結露に悩んでいるという結果が出たそうです。

仮設住宅は応急的に作られたこともあってか、寒冷地にある割にはその性能が十分とは言えず、あとから断熱材を付加したり、風除室を設けたりという対応がなされてはいるものの、やはり冬の寒さへの対策がまだまだ十分とは言えないようです。

根本的な解決はボランティアベースでは難しいので、仮設住宅の住民の皆さんやボランティアさん達の素人だけでも対応できる結露対策はないかと相談を受け、まずはボランティアステーションin気仙沼の皆さんに結露についてきちんと知ってもらおうと、スタッフの皆さんに授業をさせていただいてきました。ボランティアステーションin気仙沼では、後日、仮設住宅の自治会の皆さんに集まってもらって、結露対策の勉強会を開き、いろいろと知恵を共有されたそうです。

勉強会のようすはこちら↓
結露勉強会@ボラステ | ボランティアステーションin気仙沼
【結露についての勉強会】を行いました! | ボランティアステーションin気仙沼

これからも微力ながら、皆さんのお手伝いができればいいなあと考えています。

と、ここまではわが社のブログでもご紹介した通りです。そして、本紙ではもう少し突っ込んで、結露の話などをしてみようかと思ったり、この勉強会用に作成したテキストをご紹介しようかなどと思っていたのですが、ちょっと長くなりましたね…。これはまた来週にしようかな…。

乞うご期待!(笑

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2005.01.05

戸建てか、集合住宅か〜建物の熱環境(7)〜

エネルギー収支考えればみんなが小建に住むなんてこと事態がもう既に環境を考えると罪の様なものだし、

戸建てが無駄だという発想を敷衍すると、まち全体をドームで囲ってその中を空調したらどこに行っても快適だという究極セントラル方式にまで行き着いてしまう可能性があります。おそらく答えは戸建て空調とまち全体空調の間にあるのだろうけど、都会のヒートアイランド現象からもわかるように、結局ヒートポンプはマッチポンプに過ぎないわけで、電気やらガスやらの化石エネルギーをベースに考えると、それはエネルギー収支をどういった範囲で考えるかという問題にしか過ぎないような気がするのです。

結局、断熱にせよ、熱環境にせよ、エネルギー収支というより、人間の都合(=快適性)が尺度に成る訳なので、そこに基準線を引くのは容易ではないことだと思います。また、変にシステム組みすぎるとその仕組みしか許容しない不自由な建物になりそうなので、大本の熱の出入りだけがっつし抑えてあとは、住み手の動物としての曖昧さを許容するようなラフな作り方(というテキトー加減)で十分だし、それで、北海道で内部結露が起こって散々になったというような大問題起きないだろうなあと思うのは僕だけでしょうか?

違うかな?

違わないと思うよん。結局言いたいことは私もおんなじだと思いますです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.01.04

高断熱可変気密の提案〜建物の熱環境(6)〜

大体、基礎をきちんと断熱する様になってきたのも最近のことで、僕は、まずは、断熱きちんとやっておいて、建物の熱的なキャパをがっつし確保することで、逆にこうつかわなきゃいけないという変なシステムの側からの制限から自由でいられるような空間を作る事 と 建築/構造/設備を総合的に捉え無駄の無い計画を行うというわりかし単純なところでネタを集めておいた方がよっぽど過ごし易いんじゃないかなと思います。

だからこそ「高断熱、高蓄熱、低気密」という発想が生きてこないかなあなどと思います。低気密が生み出す問題は、それはそれであるのですが(すきま風問題とか)、高気密にすることによって、かかる設備コスト(ホルムアルデヒド純粋培養問題もそうですが、設備的にはロスナイの採用とかね、、。)を考えたら、低気密でなんとかならないものか、、、。と常々思っとるんですが。

低気密というのに問題があるとすれば、可変気密でもいいですね。夏は低気密、冬は高気密というか、、、。人の体の廻りに気流が起きさえしなければ不快な冷えは感じられないはずです。すきま風しかり、コールドドラフトしかり。(コールドドラフトとは、窓の付近で空気が冷やされて重くなって、下に動き始めることをいいます。これが冷風として感じられてしまうのが問題となる)

コールドドラフトは、高断熱によってある程度なんとかなるので、すきま風さえ防いだら、そんなに目くじら立てて「冬は高気密」とか言わなくても大丈夫そうな感じはしています。

暖炉・囲炉裏とか、床暖房とか、躯体蓄熱とか、デロンギヒーターとか、そういう輻射系の暖房器具をメインに考えて、すきま風を止める。で、高断熱。というのが、今のところ快適かつ環境負荷を小さくできる方法だろうなあと思っています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

輻射暖房にも問題はある

05-01-02_16-03輻射、輻射と言い続けておりますが、つい一昨日見た暖房器具。JR三宮駅内のカフェにて。
これはプロパンガスを使ってかなり上の方に熱源を持ってきています。いわゆる輻射暖房の一種ですね。安全性などを考えたら、こういう方法しかないのでしょうし、確かに「無いよりはマシ」(ヨメさん談)なのですが、上からカッカと温められるのは、結構不快です。頭寒足熱の逆というのがいけないんですよね。これなら(技術的・コスト的に難しいかも知れないけど)同じエネルギー量を床暖房にした方が、少しは快適になりそうです。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.01.03

常に住まう側の論理で〜建物の熱環境(5)〜

河合健二(でしたよね)の発想が秀逸で、まず、建物の平均的な単価から使用可能な部材量を割り出し、この部材重量でマキシマムの空間を作り、そこに最適な冷暖房の仕組みを組み立てています。この水準では、無駄無く最小部材で最大の広さを求める建築計画と設備計画がシンクロニックになる訳です。ところが坪単価的な発想でいくと、構造、設備はそれぞれ、大本の坪単価から割り戻されて各部位の仕様を当て込んでいく格好になっちゃうから結局つまらん建物しか建たない訳です。

おっしゃる通りだと思います。しかし、それは基本的に建てる側の論理ですよね。坪単価的なモノの考え方にはかなり多くの問題を含んでいますが、論旨が多少ずれるので今回は見送ります。しかし、視点を住まう側の論理に移さないと、問題の本質を見誤りはしないかと、自戒を込めて思う編集長です。そしてそれを実現するためには、住まう側(お施主さん)が、もう少し建物のことを勉強しないといけない。と河合健二の弟子である石山修武さんも言っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.01.02

暖房の方が難しいです〜建物の熱環境(4)〜

もう一点、冷暖房ってどうしてもシステムとの比較になってしまうのですが、建築計画との関係も重要なんじゃないかなと思います。簡単に書くと狭小住宅の場合は床面積に対し建物表面積が大きくなる訳だから、建物表面の作り方がかなり重要になってくる。反面、結構大きな規模の住宅になってくると、各部位でどのような冷暖房の計画を行うかの方が、外気との温度差より重要になってくる様に思います。

202氏が「システム」という時に、それがアクティブ、つまり化石エネルギーを用いた空調システムのことを指すのか、それともそれらを含むトータルな建築計画を含むものを指すのかでちょっと読み方が変わってきますが、、、。編集長としては基本的に後者でモノを見続けないといかんと思うのですよね。編集長としては、ヒートポンプそのものをあんまり信用していないというか、好きじゃないというか、、、。

実は、夏を涼しく過ごすのに、電気やらガスやらを使ったヒートポンプを導入してしまうと、かなりエネルギーを使わなくてはいけないけれど、そういう方法ではなく、涼しい建物をつくるための工夫は山ほどあります。いわゆるパッシブクーリングというやつです。

かえって難しいのは暖房で、簡単に手に入る天然の(化石エネルギーを使わない)熱源は太陽熱と地熱ぐらいでしょうか。どちらも補助的には効きますが、寒冷地などで部屋の暖かさを得るには足りない場合が多い。
結局、何らかの形で熱を作る必要がある。薪を燃やすとか石油を燃やすとか、電気で温水つくるとか、それからヒートポンプとかね。

あ、それから、私は電気を暖房に使うのは基本的によろしくないと思っています。電気を作る時には、必ず大量の熱を捨てています。エネルギーは最終的には熱の形になるのは自然の理ではあるのですが、熱を捨てることによって得た電気で熱だけを作るのは基本的に大変無駄が多い。それなら灯油とかガスとか薪を燃やして熱を得る方が、地球全体から見たらよほど効率が良いというのが、その理由です。

| | コメント (8) | トラックバック (1)

2005.01.01

外断熱は北国向きか?〜建物の熱環境(3)〜

輻射と地下の蓄熱の温度差の利用はブレゲンスのズントーの美術館なんかもそうですね。僕も今住宅で暖房は輻射でやってますが、外断熱にしてしまうとスタートアップに時間がかかり過ぎるので、一年での暖房期間が長い北国以外ではそこまでする必要があるのかな?とまずは思います。

うん、その話はもうちょっと考えておきたい問題で、熱容量の小さい木造住宅なんかで、いいかげんに外断熱にしちゃうとそういう問題が起きてしまう。特に気密性が低かったりすると、外気の影響を受けて温度が上下しやすくなるので、余計なものまで暖めたり冷やしたりしなくちゃいけなくなる(断熱材の内側にあるもの全ての温度をコントロールしなくてはならなくなる)。だから高断熱高気密と言われるのだけれど、気密性の高さはホルムアルデヒドの純粋培養やらの危険をはらんでいるわけで、手放しで採用できる方法じゃないのも確か。

ここで問題にしたいのは、もっと熱容量の大きいものを外断熱する方法で、例えば年中18℃で一定の温度の(その熱源を地下に求めてもいい)熱容量の高い壁が部屋の中にデーンと座っていたら、それは夏も冬も気持ちのいい熱源になってくれるはず。この壁の影響を内側にだけ向けるために外側に断熱材を使うという発想に立てば、少し見え方が違って来ない?

外断熱がスタートアップに時間がかかる方法だというのは、あくまで空気を暖めて、その空気で躯体を暖めようという発想に立っているからで、熱容量の大きいものの温度を一定に保つために外断熱をやっていると思えば、どんな地域でやっても、そんなに悪い方法じゃないんじゃないかな?違うかな?(ホントのところよく分からない部分もあるのですよ。)

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2004.12.31

過ごしやすい建物とは〜建物の熱環境(2)〜

っていうか、マスィーンですね。

っていうか、うーん。なんか喰いつきにくいコメントだなあ。

簡単に言えば、北海道みたいな所を除けば、熱容量の大きいものでがっつり断熱され、空気的にはぱーぱーに抜けてる建物で、日射が邪魔なときはヨシズを立て掛けるとか、暑くなったら庭に水をまくとかいうような、直感的な工夫が生きるような建物が過ごしやすいだろうと思っています。

夏を旨として作られた日本の家屋のパターンですね。実は、編集長の原点は実は木陰の涼しさと、土壁で囲まれた蔵の涼しさにあるんですよね。(北海道で暮らした人とは思えないけどさっ、、)

で、これを冬でもうまく働くように工夫したら、環境負荷も最小限にできるんじゃないかと。でも、例えば、南面に落葉樹を植えて、夏は日射を遮り、冬は通してくれるような工夫という話を時々聞きますが、それなら深い庇と可動のルーバーだけでも事態は解決できるワケで、あまりナチュラル系のセンチメンタリズムに突入しなくても建築で解決できることは山ほどある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.30

コメントから始めます〜建物の熱環境(1)〜

041218「枚方の住宅」のエントリーに202氏がコメント(本紙では投書と呼んでおります)を寄せてくれています。202さま。いつもありがとうございます。

コメントへのコメントを書いているうちにものすごく長い文章ができてしまったので、これ幸いと本エントリーに格上げすることにしました。以下、202氏のコメントのほぼ全文引用の形になるので若干気が引けましたが、ま、本紙の主旨から言って、許されるのではないかと判断し、公開に踏み切ります。202さまご容赦を。

年末年始のあさみ新聞発行は、このシリーズで行こうかと思います。題して「建物の熱環境」シリーズ。と大上段。えへ。一気にたくさんアップして、毎日公開という感じでいきます。

12月30日 (1)コメントから始めます
12月31日 (2)過ごしやすい建物とは
 1月 1日 (3)外断熱は北国向きか?
 1月 2日 (4)暖房の方が難しいです
 1月 3日 (5)常に住まう側の論理で
 1月 4日 (6)高断熱可変気密の提案
 1月 5日 (7)戸建てか、集合住宅か

美しい年末年始進行ですな。わはは。

| | コメント (4) | トラックバック (0)