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2009.02.20
世界遺産登録のいろいろ
山形
「最上川の文化的景観」の世界遺産登録を目指した取り組みについて、吉村知事が「登録断念」も視野に2009年度の関連事業予算を縮減して計上する方針を示したことに対し、関係市町村や観光業界、研究者は驚きを隠せない。突然の方向転換には、不満や懸念の声も広がっている。
吉村知事は、08年度(2月補正後)に約2891万円だった関連予算を09年度は約1737万円まで削減し、「県民一丸で一つの夢を持つことに意義はあると思うが、登録自体が難しく、経済難の時代に何千万円もかける姿勢でいいのか。最上川を大切にする方法は他にもある」と強調した。
──YOMIURI ON LINE「090219の記事(魚拓なし)」より引用
群馬県
群馬県富岡市は、富岡製糸場周辺の街並みや市全体の自然景観などを守るため、建物の高さなどを規制する景観条例を10月1日から施行する方針を固めた。3月定例議会に条例制定案を提案する。県も平成21年度一般会計当初予算案で、世界遺産登録推進事業に前年度比で倍増に近い約1億1280万円を計上。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に向けた準備が進むことになりそうだ。
富岡市では富岡製糸場を中心とした景観保護を目的に、景観法に基づき景観計画を策定。同製糸場周辺の約156・6ヘクタールを特定景観計画区域に選定し、さらに歴史文化的景観保存ゾーン、旧街道街なみ誘導ゾーンなど3つのゾーンに区分。また、関連した景観資源があることなどから、市内全域を景観計画区域に選定した。
──msn産経ニュース「090220の記事(魚拓)」より引用
岩手
世界遺産登録を目指す「平泉の文化遺産」に関して協議する岩手県平泉町、一関市、奥州市の各首長と県との連絡調整会議が16日、平泉町内で開かれた。昨年12月の登録推薦書作成委員会で、遺跡など九つの構成資産が絞り込まれる可能性が高まったことについて、奥州市の相原正明市長は「大きな懸念を抱いている。九つの資産堅持を2市1町で国に要望したい」と提案した。
──河北新報「090217の記事(魚拓)」より引用
山梨
2年後の2011年に富士山の世界文化遺産登録を目指してきた県が登録手続きを延期する方針を固めた。ユネスコの審査が近年、厳しさを増していることを背景に、構成資産候補の変更など、大幅な見直しを迫られる可能性も出てきた。
県の担当者が23日、延期の方針を堀内茂・富士吉田市長に説明した。27日の県世界遺産推進協議会で正式表明する。
県と堀内市長によると、昨年11月に元世界遺産委員会議長ら専門家が、富士山周辺を視察したのが転機だった。
中略
ユネスコは近年、審査を厳しくして世界遺産登録の数を抑制する傾向にあるといわれる。昨年7月には岩手県の「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」が登録延期になっており、文化庁も資産候補の選定や価値の証明をこれまで以上詳細にするよう求めてきているという。
──毎日新聞「090124の記事(魚拓)」より引用
青森【090223 へっぽこもふさんの情報により1記事追加】
昨年、青森市の三内丸山遺跡を含む「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」が世界文化遺産登録に向けた国内候補の暫定リスト入りを果たした。遺産登録への第一歩となるものだが、世界文化遺産特別委は「今の提案内容では国際的評価を得る上で不十分。顕著な普遍的価値の確実な証明と、資産構成の整理などが必要」と指摘している。
県は課題を克服して登録を実現するため、新年度予算案に「あおもりJOMONステップアップ事業」(2370万円)など計4033万円を計上。英国・ロンドンでの縄文遺跡群の専門家向け説明会や、関係4道県の連携による展示会の開催など、国内外で縄文文化への理解と評価を高めてもらおうとしている。
──毎日jp「090222の記事(魚拓) 」(地方版)より引用
と、最近の記事を並べてみました。世界遺産登録も各地でいろいろに取り組まれていることが分かります。
現在の日本の世界遺産は13件
「法隆寺地域の仏教建造物」(1993年)
「姫路城」(1993年)
「白神山地」(1993年)
「屋久島」(1993年)
「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」(1994年)
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(1995年)
「原爆ドーム」(1996年)
「厳島神社」(1996年)
「古都奈良の文化財」(1998年)
「日光の社寺」(1999年)
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」(2000年)
「紀伊山地の霊場と参詣道」(2004年)
「石見銀山遺跡とその文化的景観」(2007年)
で、暫定リストに記載されている資産は現在11件
「古都鎌倉の寺院・神社ほか」(神奈川県、平成4年)
「彦根城」(滋賀県、平成4年)
「平泉の文化遺産」(岩手県、平成13年)
「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県、平成19年)
「富士山」(静岡県・山梨県、平成19年)
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県、平成19年)
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、平成19年)
「国立西洋美術館本館」(東京都、平成 19年)
「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道/青森/岩手/秋田、平成20年)
「九州・山口の近代化産業遺産群」(山口/福岡/佐賀/長崎/熊本/鹿児島、平成20年)
「宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡、平成20年)
※(最後の3件。昨年末にリスト入りしていました。お詫びして訂正いたします。ご指摘いただいたへっぽこもふさん、ありがとうございました)
世界遺産と無形文化遺産 文化遺産オンラインよりコピペしております。
どうやら上記引用記事のうち、最初の「最上川の文化的景観」以外は暫定リストにまで掲載されている様子です。
「最上川の文化的景観」については、暫定リストにのせるための継続審議が妥当とされていて、現時点での「最上川の文化的景観」課題として、
①主題
出羽三山信仰、最上川の舟運等、鳥海山信仰、蔵王信仰など複数の主題が複合しているが、今後、世界遺産を目指す上でどのような主題が適切か整理が必要。ただし、出羽三山など信仰関連遺産を主題の中軸に据えた場合には、他の提案資産の中に主題の類似するものが存在する。
②資産構成
想定されている多様かつ豊富な構成資産の相互の関連性・連続性に関して、確実な説明が必要。特に、出羽三山と最上川とを結び付ける根拠を明確化するとともに、海域を含む総合的な観点からの資産構成について検討することも必要。
③登録基準の妥当性
提案書に示された登録基準iv)については、歴史上の重要な段階を物語る建築・景観の見本の観点からの再考が必要。
──文化庁 世界文化遺産特別委員会「継続審議とすることが適当とされた文化資産」(pdfです)より引用
なかなか世界遺産登録も結構大変なことがわかります。簡単にまとめると基本的には「世界基準でどう重要なのかをきちんとプレゼンしろ」ということのようです。身もフタもないまとめ方ですが・・・。
最後に文化庁の「世界文化遺産特別委員会」のレポート「世界文化遺産特別委員会における調査・審議の結果について」より、世界遺産の最近の傾向についてまとめておきましょう。
平成6年に世界遺産委員会が採択した「グローバル・ストラテジー」によると世界遺産登録状況の問題点として、
・登録遺産数の地域的不均衡
・遺産が属する時代の不均衡
・遺産の種別館に見られる不均衡
などがあげられていて、これらの是正のために
(1)人類の科学技術の発展を示す産業遺産
(2)新しい時代の遺産である20世紀の建築
(3)人類と自然の共生を示す文化的景観
などの遺産について比較研究が進められているそうです。(この手の不均衡については重要文化財でも同じ問題を抱えていそうです)
簡単にまとめると「登録されてない分野・時代をねらえ」ということかと。これもまた身もフタもないですが・・・。
さらに
平成18年の第30回世界遺産委員会から適用された方針として
(1)1締約国からの登録推薦書の提出は2件まで
(2)登録資産を持たない締約国の推薦資産を優先
(3)代表されていない分野における資産登録を優先
という方針で世界遺産登録を行っているようです。
やはり「登録されてない分野・時代・地域をねらえ」ということか。
今日の記事は完全に学習レポートになってしまいました。
このままでは終われません。
あさみ新聞の主義主張をしなくてはなりませんね。
あんまり世界遺産が多くなりすぎると「世界遺産評価インフレーション」が起きて、世界遺産の価値が下がるのではないかと懸念する方もいらっしゃるかとは思いますが、本紙編集部的には「インフレ上等!」が合い言葉です。ばんばん世界遺産を増やすのがいいと思います。
「すべての資産を世界遺産に!」
世界遺産は68億(←世界人口ね)種類あってもいいとさえ思います。世界遺産を目指す活動そのものが、地域を見直し、地域の資源を再評価し、誇りをもって地域を見つめる視点につながると信じるからです。
各地の皆さん、がんばって下さい。
2009 02 20 07:00 午後 [02社説 (私の主張)] | 記事
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受信: 2009/02/26 21:59:41
投書(コメント)
あ、年の表記がぐちゃぐちゃだった・・・。
あとで直します。(平成→西暦の変換が苦手・・・)
投書者: あさみ編集長 (2009/02/20 19:10:06)
こんにちは。グーグルから来た通りすがりの者です。
世界遺産。難しいですねえ。
ガイドラインの変更とかユネスコの財源とか。
なんつっても欧米基準ですしこっちは極東の島国の
イエローモンキーですし。
今度三内丸山&周辺がリストに入って、さらに粘るための青森県の予算が4千万とか。ぐえっ。
毎日の22日の記事にあります。
審査通っても維持にかかる費用がハンパないし。
客には荒らされまくるし。
集客効果と支出のバランスシートは実際どの程度なんでしょ。
個人的にはインフレ上等案賛同です。
救われない貴重な文化財があまりにも多いので・・
ではお邪魔しました。
投書者: へっぽこもふ (2009/02/23 8:50:02)
へっぽこもふさま
ご投書ありがとうございます。あさみ新聞は通りすがり大歓迎、できるだけインタラクティブな新聞を目指しております。
上記記事、ご指摘に沿って再調査し、記事の訂正をさせていただきました。取材力不足を恥じ入るとともに、今後の取材力強化に力を入れてまいります。今後とも厳しいご指摘をお寄せ下さいますよう、お願い申し上げます。
さて、
「集客効果と支出のバランスシート」って、新しい視点で面白いですね。読者の皆さんのどなたか、研究費をどこかから持って来てやりませんか?及ばずながらあさみ新聞もご協力いたしますよ。
あ、「対投資効果がないからやめろ」と言うつもりは全くありませんけどね。事実は事実として知っとく必要はあるでしょ?世界遺産登録の金銭的ハードルを低くする圧力にできるかも知れませんしね。
まあ、そういう意味でも「インフレ上等」って感じです。
あさみ新聞的には「救われない貴重な文化財があまりにも多いので・・」というところにかなりコミットしてます。そうなんだよね。
実は今回、世界遺産ってなんなんだろ。と考え込んでしまった編集長なのでした。
投書者: あさみ編集長 (2009/02/23 10:58:23)

