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2009.02.11

真正面から向き合いたまえ

金子国交相:福山市長を批判 鞆の浦架橋計画巡り
瀬戸内海国立公園の景勝地、鞆(とも)の浦(広島県福山市)の埋め立て・架橋計画について、金子一義国土交通相は3日の閣議後会見で「市長のやり方では物事が前に進まない。国民が求めることを頭の中に入れ、進めてほしい」と発言、計画を推進する羽田皓(はだあきら)・福山市長を批判した。
鞆の浦は宮崎駿監督がアニメ映画「崖の上のポニョ」の構想を練ったとされる場所。この問題で、金子国交相は羽田市長と1月28日に会談したが、市長は2月2日の会見で「民主主義の手続きを踏んで地元が最善と判断した事業」と発言していた。
──毎日新聞「090203の記事」(魚拓)より引用

編集長は鞆の浦に行ったことがないので、この話題については言及を避けて来たというのが実際のところです。ただし、現地を見ずに言ってよいなら、編集長的には架橋計画にはおそらく反対するだろうと思います(見てないから主張が弱いのですよ・・)が・・・。

で、前後の事情を見るに、もしどうしても鞆の浦架橋計画を押し進めようと思うなら、相当な時間をかけた手続というか、地域住民の皆さんの「納得のプロセス」が必要だろうなと密かに思ってたりしたワケです。


さて、今回、編集長が鞆の浦を取り上げたのは、架橋の是非ではなくて、その周辺で起きていることにちょっと納得がいかないことが理由です。(現地を見ていなくても語れそうなことがあった。というワケ)

理由は2つ。

1つは、「なんだかオヤジどうしの喧嘩」みたいなことになっちゃっているとことに「ちょっと待った」と言いたいこと。国交相金子氏いわく「思いが理解されなかったのは残念。何のために来たのか」だそうで、埋め立ては避けるべきという主張の正しさは別として、この態度はいただけないと思います。(もちろん、全くこの通りに語ったのかどうか、という問題はありますが)

これって裏返せば「オレがわざわざ来て説得してんねんから言うことを聞け」と言っているのではないですか? さらにイジワルに見れば「わざわざやって来たオレのメンツを潰すつもりか」と言っているように聞こえます。この論理は完全に、いわゆる「ヤカラ」のそれです。
もうちょっと上品にやりましょう。金子君。

もう1つは、ここでは景観戦略上「ポニョ」は要らないということ。脱線気味に言うと、どこを見ても「宮崎さんがポニョの構想を練ったと『される』場所」となんだか断言を避けたニュースしかないことが、編集長にとっては非常に気持ち悪いなあ。まあ、そのことは別として、ポニョは余分としか思えません。景観を議論する際に「風光明媚であること」や「豊かな生活が営まれていること」「美しいこと」「かけがえのないこと」などを引き合いに出すのは良いと思います。あくまで守られなければならないのはそういうところではないでしょうか。

もし本当に宮崎さんが鞆の浦でポニョ構想を練ったのだとしても、それは鞆の浦が「よいところ」だったからに違いないと思うのです。それなのに「よいところ」という評価を脇において「ポニョ」を全面に出すのは「なんだか違う」と思います。もちろん「すごく良いところなので「ポニョ」にも使われてるんですよ」って文脈で使われるなら、何の問題もないと思いますけど。

「大切にすべき景観」を真正面から取り上げず、とりあえず「大衆」ウケしそうなネタを前面に持って来て、その大切さを訴えようという姿勢は、問題の本質から逃げてるし、だいいち、「大衆」をバカにしてると思います。

ポニョが悪いんじゃないです。宮崎さんも全く悪くない(当然だ)。
毎日新聞の腰が引けてることをこそ問題にしたいのです。

(オレのメンツ)が大事な金子君も(「大衆」のご機嫌伺い)な毎日新聞君も、
景観を論ずるならば、真正面から向き合ってほしいと編集長は切に願います。


あ、ちょっと勢い良すぎたか? 大丈夫だよね?

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コメント

って言うか編集長!宮さんは、鞆の浦架橋にもの申す
グループの応援団のメンバーです。

なんか鞆の話は、22年前の小樽運河埋め立ての時
みたいな局面になってきていると思います。

埋め立て架橋の工事を受ける(ことになっているで
あろう)ゼネコンの「順番」に囚われている地元行政は
哀れですらあります。他の県内の橋の仕事をまわせば
済むのに、何やっているのでしょうね。検察が動かない
と態度を変えないのでしょうか。トンネル掘って、
バイパス通して、鞆の浦は世界遺産でええやないか
と私が広島県知事なら、とっくの昔に決断しています。

(ここまでいえるのはやっぱ現地に2度も足を運んだものの強みかな)。

投稿: フランキー中尾 | 2009.02.12 00:01

鞆の現状を現地で見てから言ってください。

投稿: | 2009.02.12 00:15

フランキー中尾さま

なんか、あさみ新聞、叩かれ気味?

実はこの記事にトラックバックを下さった「いさた」さんが、あさみ新聞よりも上品に、かつ、問題点を冷静に論じておられます。特に「ポニョ」周辺の論理に関しては、全くもって賛同いたします。どうかそちらもお読み下さい。

さて、
フランキー中尾さま

ご投書ありがとうございます。
ふむ。なるほど、そういうことになってるのね。
それがホントなら、県知事さんも
「ゼネコンの順番があって、引っ込みつかないねん」
って、どうして正直に言えないのでしょう。
いや、編集長としては(冗談じゃなしに)ホントにそこんところが全く理解できません。もし、そう正直に言えば「んなら仕方ないなあ」って言ってくれるヒトもいるかも知れないのに・・・・。言えないなら頑張らなくてもいいんじゃないかと。
(編集長はたぶん断固反対ですけど・・・)

さて、別な話。
宮崎さんが、そういうメンタリティーの方だということは(ご当人のご意見を目にしたことがないので知りませんが)なんとなく想像がつきます。「あの有名な宮崎さんだって反対してるんだよ。」ってのは大いにやったらいいと思います。
何度でも言いますが、ポニョが悪いのでも、宮崎さんが悪いのでもありません。(編集長がご当人をよく知らないだけで)

でも、本紙編集長としては、やっぱり「ぽにょだからステキ」という論理に与するワケにはいきません。理由は、繰り返しになりますが「よりよい・美しい景観を守るあるいは育てる」という議論と「それがポニョだ」という議論は、分けるべきと考えるからです。少なくとも、一番最初に来る議論ではあり得ません。
じゃないとやっぱりちゃんとした景観議論にならないと思うんだけどな。


小樽運河の時の様子は、実は編集長、北大建築の建築史研究室を出てますので、全く知らないワケではありませんが、なにぶん現役でないヒヨッコ時代のことなので、リアルタイムでは存じ上げません。

ただ、(当時、地域の景観を守るために死にものぐるいの努力をされていた皆さんには失礼なことは重々承知で言いますが)計画推進派(景観破壊系)と計画反対派(景観保存系)が敵味方になって争うという図式を続ける限り、歴史的建造物保存なり、景観保存なりの論理が「連戦連敗の歴史である」という状況を引っくり返すことはないのではないかと考えてきました。ついつい感情的になりがちなこの議論、突破口を用意しなければならないのは、保存の論理を主張する方だと思います。(編集長が、修士論文「歴史的建造物保存論序説」で考えようとしたのは、そこのところ。まあ、全くもって失敗に終わったワケですが・・・。)

一方、景観問題を取り巻く世論の状況は、小樽運河の頃とは大きく異なっていますし、だからこそ国交相が「ちょっと待った」などと言い始めているワケです。おそらく、そこが小樽の時とは大いに違うところだろうと思います。
そしてもし、この議論にもしステキな出口があるとすれば、それはこの違いを踏み台にして、ではないかと思う訳です。
であればこそ、国交相にはもうちょっとちゃんと演じられる役者が欲しいなあと思うんですよね。

いや、分かりにくい議論で申し訳ない。

投稿: あさみ編集長 | 2009.02.13 14:26

>鞆の現状を現地で見てから言ってください。さま。

確かにおっしゃる通りで、その点については全く申し開きの余地はありません。編集部のポリシーを曲げて、見てないモノについて語ってしまったことについて、大いに反省中です。申し訳ありませんでした。

一時は、記事を引っ込めることも考えましたが、それでは、せっかくご投書をいただいた皆さんのご意見も無駄にしてしまうことになると考え、アホな姿勢はアホな姿勢のまま、ご批判込みで晒し続けることにいたします。

ただ、編集部のポリシーを曲げてまで、編集長が言いたかったことは、あくまで「現場を見てるとか見てない」とかとは違う議論であるつもりだ、ということをご理解下さい。

ことさらに、編集長が現地を見てないことを強調したから誤解されてしまったのでしょうか。それとも編集長が根本的に間違ってるのかな・・・?

この主張について「それは違うのではないか」とおっしゃる方がいらしたら、どうか厳しいご批判をいただきたく思います。

今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: あさみ編集長 | 2009.02.13 14:35

地元住民が両派に分かれているのでどっちに転んでもしこりが残る問題ですね・・・

投稿: | 2009.03.09 17:01

新聞記事に景観問題を載せても新聞社ビルが景観を損ねているケースが多いので説得力がないです・・・  

投稿: | 2009.03.10 16:04

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» 広島「鞆の浦」の埋立て・架橋計画 [独 言 工 房]
広島県福山市に「鞆の浦」というところがあります。私自身は行ったことがありませんが、江戸時代からの港や街並が残っているそうで、元記事の写真を見ると、なかなか味のある風景だと思います(撮影者の技量によるところもあるでしょうが)。 この鞆の浦で、広島県や福山市が..... [続きを読む]

受信: 2009.02.12 17:57

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