楳図さんちのこと
記事冒頭に追記
このニュース。多くの皆さんから編集部にお知らせがありました。ネタに困っている「あさみ新聞」を心配してくれた読者の皆さんによるものです。どうもありがとうございました。「あさみ新聞」は皆さんの情報提供と、皆さんの生暖かいご支援ならびに鋭いご指摘により成り立っております。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
画家の楳図かずおさん(72)が東京都武蔵野市に建てた、「まことちゃんハウス」と呼ばれる外壁が赤白のしま模様の自宅をめぐり、近隣住民2人が「景観を破壊する」として外壁部分の撤去などを求めた訴訟で、東京地裁は28日、住民の請求を棄却する判決を言い渡した。
──asahi.com「090128の記事(魚拓)」より引用
景観の大ネタが出てたので「あさみ新聞」としても、何か意見を表明しておきたいところですが、あんまり考えて記事を書いている時間がないので事実関係の確認と、編集長の感想をば。
裁判長によると「周囲の目を引くが、景観の調和を乱すものとまではいえない」ということだそうです。出来上がった建物の写真はニュースソースをみていただかないといけませんが、確かにハデな外観です。
普段「景観まちづくり」を地域の皆さんと考えているコンサルタントでもある編集長としては、これを「是」とするワケにはいかない感じがします。また、パッと見たところ建築物としてセンスが良いとも正直なところ言いがたい。
でも、編集長的にはこの住民請求「棄却が相当」と言わざるを得ません。おそらく建築法規はクリアしているのでしょうし、この地域に景観法による規制がかかっているという話も聞こえてきません。
納得のいかない人も多いかも知れないけど「自分の土地に好きなものを建てる」ことを規制するルールが存在しないところで起きたこの問題について、裁判所が独自に規制できるような世の中じゃないと思います。また、そんな世の中になってはいけないというのは本紙編集部の基本的な考え方です。
訴えを起こしたお2人の住民の方が、どれだけ受忍限度を超えるような生活権あるいは環境権を侵害されているのかが、記事からはよく分かりません。ただ、この建物によって誰がどれだけの迷惑をこうむるのか?に関する共感あるいは、納得のプロセスをもう少し大事にできなかったかと思います。一方で、楳図センセイがやりたかったことに関するシンパシーを育むプロセスを生み出せなかったのかとも思います。
ま、それができなかったから裁判になったのでしょうけど。
これを契機に、地区の将来像とか、地域景観のあり方について、地域の皆さんが意識するようになると、少しはまちの様子も変わってくるのかなあ。と思います。(ヘタレな意見でごめんなさい)
楳図さんは赤白しま模様のネクタイを締めて出廷。勝訴判決を聞き、一礼した。判決後に「良い結果で、春を皆様よりちょっと先に感じることができた」と話し、報道陣にギャグのポーズ「グワシ」を決めて裁判所を去った。
──「同上」より引用
楳図センセイお得意のギャグセンスなんだろうから、編集長的には許してもいいですけど・・・。「『グワシ』がいらぬ挑発にならなきゃいいけど」とも思います。
【オマケ】
実は、編集長的には下記のようなことを(無責任にも)いろいろと考えました。
もう建っちゃったんだから仕方ないし、この際「まことちゃんハウス」で「まちおこし」なんかどうですか?(そういう土地柄でもないのかなあ・・)
とか、
この住宅が増殖して20軒くらい並んで建ってたら、それは派手に調和のとれたまちなみってことになるのか?
とか、
現場で写真をとってきて、赤白のシマシマじゃなくて、青白だったらどうなのか、真っ白だったらどうなのか、真っ赤だったらどうなのか、なんてのを考えると何か見えてくるかも知れない。
などなど・・。
あ、あと、楳図仕様とかいって、この外観の住宅を全国発売するというビジネスモデルを考えましたが、これは物議をかもしそうなので引っ込めときます(笑
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コメント
出掛け際に見たTVニュースでは近隣住民が「泥棒よけになる」って前向きなコメントしてました。
しかし、自分でもミーハーだな〜とは思うんですが、楳図邸の中がどうなってるかに好奇心が向いてしまいます。
投稿: m-louis | 2009.01.28 21:16
どもども。ご投書ありがとうございます。
前向きなコメントは常に世の中を明るくしますね・・・(笑
実は編集長。楳図さんにシンパシー感じちゃってまして、建物のデザインがすてきだとは思えないけど、やりたいことは分からんでもない。ってのが、ホンネです。
しかし、一連の騒動があまり景観問題に思えないのはなんでなんだろう・・・
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.28 21:32
景観に関する基本的な私の疑問(心配)
1 だれがよい景観を決めるのか。声の大きい者か。
2 なにか言えば「おまえなどよい景観などわからないのだ」といわれるのではないか
ま、この2つは同じことを言い換えてるだけかもしれませんが、私の基本理念かも。
これを、楳図さんからみれば、そういう心配はとりあえずなかったということになるし、訴えた側から見れば、心配が当たったということになるのかなぁとも思いました。
結局は、とりあえず一番声の大きそうな裁判所は、だまってくれたと私は見ます。ということで、2番目に声の大きな人が登場せねば。行政から?住民から?大学からはやめてね
投稿: nagai | 2009.01.29 07:28
「景観問題」というなら周囲の状況もあわせて報道しなければなりませんが、
各報道の多くはこのストライプの建物単体を写して情報を流しております。
その場合、この建物が通りから見てどのように見えるかという
視点が欠けており、見ようとしなければ見えないものを、
あたかも見せつけられているかのように見せている可能性があります。
その辺が景観問題に思えないところ。
それと、紅白ストライプが楳図さんのこれまでの活動として
広く認知されているところも加点。
だから
>楳図仕様とかいって、この外観の住宅を全国発売するという
これは認知されていない人がすると景観問題に発展する可能性大。
「なんであの人はよくて・・・・」となるけれど、
景観問題だけでなく、芸術活動の問題も含んでいると
常識人は理解しているはず。
投稿: ちはる支局長 | 2009.01.29 07:45
nagaiさん
おっしゃる感じ、よくわかります。
編集長も以前「声の大きさ問題」なのか?と考えたことがあります。
「声の大きさ」を尺度にものを考えるといろいろ見えてきますが、
そういう世の中でよいのか?と考えると、別の見方がないかなあ、
と思うのが正直なところ。
極端な話が、景観に関する議論はワキに置いて、
大きな声を出す練習した人のご意見が尊重されるなんて、
ちょっとイヤだなあと思うワケです。
このあたりの問題。ちょっとまじめに書かなくちゃ。
(時間ないけど)
でも、とりあえず表明しときます。
景観の良し悪しを決めるのは「声の大きいヒト」ではありません。
(と、編集長は思うんだけどなあ)
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.29 10:43
ちはる支局長
ありがとうございます。
編集長のもやもやの一部が晴れました。
重要なご示唆をいただきました。
「まことちゃんハウスは景観問題なのか」
で、3日分の記事ぐらいにはなりそうです。
芸術問題。
確かに芸術問題を大きく含んでいるので、
この問題、純粋景観問題に見えにくくなっています。
しかし、nagaiさんの言うところの
「声の大きいヒト問題」を使って、編集長がこの問題を
見ると、少し様相が違ってきます。
楳図センセイは、本人が望んでいるかどうかは別にして、
いわゆる「声の大きいヒト」だと思います。
そして、声の大きなヒトの言動は、時に暴力になりかねません。
(今回の一件が暴力なのかどうかは判断保留しますが)
楳図センセイなりに「声の大きいヒト」のふるまい方を、
きちんと考えるべきではなかったかと思うのです。
そして地域住民の皆さんも・・・。以下略
もしかして地域コミュニケーション問題なのかなあ・・・
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.29 10:51
地域コミュニケーションの問題というか、地域コミュニケーションにおける合意形成の問題だと思うのです。
で、その合意形成の課程において声の大きなヒトの意見は重要な要素になると。
楳図さんは、声が大きいのかどうかわからないけれど、こと景観に関しては、声の大きいヒトが好き勝手やっていいのかなくらいのご教訓を今回の訴訟は残したのではないでしょうか。
いい景観っていうのは、ほんとによくわからない。たとえば、ごちゃごちゃ=活気のある景観、色彩ガイドラインに沿った連繋された景観=変化に乏しい景観などといえば、「だからお前は景観がわかっていない」と誰かに言われそう。誰かって誰なんだろう。
投稿: nagai | 2009.01.29 19:47
nagaiさん
そうですそうです。
合意形成の問題ってことですよね。
>で、その合意形成の課程において声の大きなヒトの意見は重要な要素になると
で、次の問題はココです。
声の大きいことが合意形成の重要な要素でありつづけるところに、本当の意味での合意形成ってあるのか?というのが編集長の現在の興味。
編集長が言っていいのか分からないけど、「いい景観」ってのは本当に難しいです。「結局好き嫌いの問題じゃん」って言ってしまうのも乱暴っていうか出口なくなっちゃうし、「我々の遺伝子に組み込まれた絶対的な美しさってものがある」なんて言われるとヒキます。
全ての価値観を相対化してしまうと議論できなくなってしまうし、絶対的な原点(メートル原器ならぬ景観原器とかね・・)を獲得しようとするのも無益な作業になってしまうだろうという直感があります。
皆がなんとなく合意しているつもりになっている「いい景観」の正体って、いったい何なんだろうなあ。と思う一方、編集長にも「これっていいよね」という風景があったりするワケで、これはちょっと悩ましい問題です。
これを合意形成議論と無理矢理結びつけて考えるのは強引なんだろうか?
それはそれで「その地域の皆がいいって言ったら、それがいい景観」って話になりますね。それはそれで本当にいいのか?という議論を巻き起こしますが、案外編集長、それはそれでいいんじゃないかと思ったりしているワケです。全てのまちが「小京都的なもの」を目指すよりは健康的かと。
あ、何いってんだろ。わたし。ちょっととっちらかってますね。
いつかきっとまとめて書きます。
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.29 20:10
大変ごぶさたしております。東京特派員を勝手に自認しております鳥生です。
早速足を運んで来ました。
http://picasaweb.google.co.jp/tomoyuqui/090129?authkey=MsQ7jtrJYPQ#
他の建物が道路境界一杯にせり出しているのに対して、しっかり前庭設けてセットバックしており、石垣の造りなどむしろ上品な感じを受けました。緑が育てばなお良い感じになるのではないでしょうか。
周辺の街並みもがちゃがちゃとしており、あれを景観の調和で攻めるのは、なかなかに難しいものがありそうです。
今回の件は、迷惑施設を拒否する感覚に近いのではないでしょうか?
投稿: 鳥生 倫 | 2009.01.30 11:57
おお。鳥生さん。お久しぶりです。
早速でしたね。周辺の状況が分かって大変参考になります。
確かに赤白ストライプは悪目立ちしてますが、周辺環境とどう対峙するかという点での上品さはあるように思えます。
建物単体のステキさは別として、周辺環境に与えるインパクトでは、西澤センセイの分棟型集合住宅『森Y邸』の方が強いかもしれません。
たぶん西澤センセイのヤツが問題にはならなくて、楳図センセイのんが問題となる、その境目がどこにあるのか明瞭に語れるヒトがどれだけいるでしょうね。少なくとも本日この時の編集長には無理です。
景観って奥が深いですよね。
さて。鳥生さま。
特派員と言わず、ぜひ東京支局長をお任せしますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。これであさみ新聞もついに東京進出。「1本社+2支局制」が整いました(笑
あ、支局長といっても「これをせねばならぬ」という職務はございません。そのかわり(あさみ新聞が営業ベースに乗らないうちは)報酬もありません(笑
まあ、ユルい気持ちで結構ですので、情報提供など、本紙へのご協力のほどをよろしくお願いいたします。
実は編集長。
勢いに乗って北海道進出のための札幌支局の開設を画策中です。
支局長募集中(笑
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.30 13:10
うっ、支局長を拝命してしまうとは(笑)
さてM山邸は先日NHKでやっていたこともあり、私も疑問に感じていたところであります。
楳図さんの件との違いをひとつを挙げるとすれば、施主が昔から現地で酒屋を営んでいた、昔ながらの土地持ちということではなかろうかと。
あのデザインが、例えば顔の見えないデベロッパーかなんかによって突然降ってきたら、どんなに有名な建築家の手によるものと言っても、やっぱり訴訟のひとつぐらい起きそうな気がします。そのような与件だったら、そもそもあんな無茶は通らなかったのではないでしょうか。
投稿: 鳥生 倫 | 2009.01.30 17:15
鳥生支局長さま(笑
お、やっぱり、結局「合意形成問題」とか「声の大きさ問題」などの領域に突入するわけですね。昔から住んでいた地主さんの周辺コミュニティのあり方が、新しい試みを許容しているというか・・・。
逆に、M山さんが(おそらくそんなセンスの方ではないと信じて疑いませんが)もし「どうしても赤白ストライプの家を建てたいんだいっ」と言ったら、あのM山邸周辺では「まことハウス」がOKだった可能性もあるということなんでしょうね。
不用意に西澤センセイの設計による住宅を引っ張り出してしまいました。「いやいやそれは別の問題ダロ」とか誰か叱責して下さい。
投稿: あさみ編集長 | 2009.01.30 17:59
前向き情報をもう一つ。
セルフビルドで「蟻鱒鳶ル」を建てようとしてる岡さんの敷地周辺(三田)が再開発の網に掛かってしまったようで、再開発歓迎の関係者や近隣住民からしばらくとやかく言われるようになっていたらしいのですが、それが楳図邸判決が出てからパタッとなくなったそうです。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=39240226
(ま、これに関してはその先どうなるか未知数ですけど)
鳥生さんの写真、私も非常に参考になりました。
あの界隈は子供の頃にチャリで徘徊してたところでもあるので、懐かしくもあります。
投稿: m-louis | 2009.01.31 01:27