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2007.12.21

景観配慮型「賃貸住宅」(京都)

京都市の「新景観政策」に対応した新和風集合住宅
「セジュール ウィルモア京都仕様」発売
大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:村上健治)は、2007年12月20日、京都市施行の「新景観政策※」に対応した2階建て賃貸住宅「セジュール ウィルモア京都仕様」を発売します。
「セジュール ウィルモア京都仕様」は、京都市が定めた意匠に対応した外観としながら、高い敷地対応力を持ち、さらに耐震性・防火性・防犯性にも優れた2階建高級賃貸住宅です。
(中略)
「セジュール ウィルモア京都仕様」は、京都市の街並みに調和した和風の外観デザインと、ファミリータイプからシングル向けまで幅広い入居者ターゲットに対応しながらステータス感のある上質さを追求した、高い居住性能と防犯性能を兼ね備えた賃貸住宅です。
──大和ハウス工業のサイト「セジュール ウィルモア京都仕様 発売魚拓)」より引用

ふーむ。景観配慮型にもいろいろありますな。持ちネタの景観配慮型を紹介するプロジェクトを立ち上げたつもりが、次から次へと気になるニュースが発表されて、編集長としては、なんだか困ったようなうれしいような。

ハウスメーカーさんが「景観配慮型」と銘打って、住宅を創り始めていること自体は評価して差し上げましょう。でも、それがこういう形のものとして発表され、市民の皆さんに「これが京都市の景観政策が目指していたものなのだ」という理解のされ方をしたとしたら、それは京都市の望むところだったのでしょうか?

もちろん、大和ハウスさんのことですから、きちんと京都市との協議は行った上での話なのでしょう。条例的にはきっと適法なのだと思います。

あさみ新聞のポリシーには反しますが、魚拓さんを使って画像をアップしておきます。

1.和風の佇まいの外観デザイン
「セジュール ウィルモア京都仕様」は、約1,200年の悠久の歴史に磨かれて育まれてきた京都の景観に対応した和風集合住宅です。日本建築の技法や意匠を外観に巧みに取り入れ、「深い軒」や「勾配軒天」「連なる庇」などにより、集合住宅でありながら格調と風格のある和風の外観シルエットを創り出しています。
屋根葺き材は、日本の伝統ある「陶器製平瓦」を採用。また、セラミック系の塗装を施した「彩色スレート」、耐候性の高い「金属製瓦」など多彩に取りそろえました。
外装については、歴史的街並みに調和する外装アイテムをご用意しました。和の洗練を感じさせる土壁柄の外装材をベースに、京都市が定める地域に馴染む日本伝統の色味をご用意。いにしえの景観との調和を考えた外観デザインとしました。
──大和ハウス工業のサイト「セジュール ウィルモア京都仕様 発売魚拓)」より引用

しかし、まあ、なんかどうにも編集長としては釈然としません。
っていうか、読者の皆さんも「それでいいのか?」と思いませんか?

もしかしたら、編集長が必死に考えて商品化賃貸住宅を考えたとしてもこれ以上のものは出来ないのかも知れません(などと、かなり弱気・・・)。建築物の設計には様々な制約がつきものですから、そういうこともあるかもなあ・・・などとも思います。

いや、でも、もう少しなんとかなるんじゃないかと・・・。
っていうか「これが京都なんですか?」「どこがそうなんですか?」と問いたい。

これは、ハウスメーカーのデザイン力(諸事情込)の問題なのか、景観政策の不備なのか、もう少し考えてみる必要があるように思います。たぶん「そのどちらも」なのでしょうけれど。

やっぱり「景観2.0(参照リンク)」あるいは「脱・景観論(参照リンク)」が必要のような気がしてきました。

記事を書き終えたあと、たまたまakanem特派員からネタ提供がありました。
積水ハウスさんのやつは、別に京都仕様というワケではありませんが、コンセプトは似たような感じです。

積水ハウス、日本古来の伝統美を取り入れた切妻屋根の住宅
緩やかなこう配の切妻屋根の側面の破風意匠を従来よりも薄くして、すっきりとした水平ラインと落ち着きのある外観とした。外壁は、砕石などの骨材を混ぜた塗り壁風の吹きつけ塗装で和の邸宅感を出した。
室内は、土間、障子や襖(ふすま)、格子などの可変間仕切りを活用した空間作り、足元に差し込む光を利用した地窓などを採用。軒裏天井の木目調サイディングや7寸角の大黒柱を取り入れて、木の質感を表現した。
──「「nikkei BPnet」070425の記事魚拓)」より引用

これらを見比べる、っていうのも面白いかも知れません。
ついでに画像を魚拓で貼っておきます。

景観配慮型シリーズ内で揃えるために記事タイトルを変更しました(080110)

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コメント

大和ハウスのは、いただけ無いな。積水は、たとえば東明の
高嶋の甲南漬の蔵作り風店舗とかでの実績を生かして、手馴
れた感じで仕上げておりますな。でも、街中に建てる建物と
考えると、積水の提案している外構は再考の余地ありでしょ
う(下賀茂あたりなら許す、かも)。
 今年の秋に三重県伊勢市に言った時も考えたのですが、和
風の建築が優位な中での新築住宅のあり方って、考えさせら
れます。

投稿: ドクターフランキー | 2007.12.22 12:40

確かに敷地廻りの塀の存在ってのが、町家の文脈となかなか合いにくいので、街中では難しいものがありますね。

あ、それから、寄棟っていうのが難しいんですよね。

日本の伝統デザインに寄棟がないか、というとそうでもないのですが・・・。(東大寺大仏殿とか正倉院とか・・・浄土寺浄土堂は・・ありゃ方形だったか・・・)編集長的には、寄棟ってのは洋館と沖縄民家(沖縄のんは棟の長さが極端に短いことが特徴かな。実は編集長、沖縄には行ったことがありません(恥・・・よくビックリされますが・・・(笑・・・)の意匠だと思っているところがあります。

最近の工業化住宅にも多いですけど。

話がそれたな・・・。

寄棟で京町家ってのは成立するんでしょうか?
>詳しいひと、よろしくお願いします。

投稿: あさみ編集長 | 2007.12.22 14:20

根本的に都市住宅のタイポロジーを理解してないですよね。

まあ、積水のは郊外に建てる分には多少は貢献するんじゃないですか?

ダイワハウスはお手本にしているはずの郡上八幡とか奈良からは何を学んだのでしょう?という気はしますが名前からしてセジュールウィルモアですからあまり多くを期待するのもどうかと。
http://www.daiwahouse.co.jp/daps/products/willmore/appearance.html
京都にこんなのが建つより良いでしょ?褒めてっていうことじゃないですか?パーツを見ると切妻もできそうですけど。

大内宿なんかは茅葺きですけど寄せ棟になってるんじゃないですかね?行ったことないので実際どうなってるのかは知りませんが。

投稿: yagik | 2008.01.14 04:15

すみません。URLのあと改行入れ損ねておかしなことになってしまいました。

投稿: yagik | 2008.01.14 04:17

yagikさん
本年もよろしくお願いいたします。

大内宿は確かに寄棟ですねえ。茅葺きだけど・・・。
半切り妻のでかいやつみたいな変な寄棟とかあって、結構面白いですよね。でも町家風とはいいがたいなあ。

いや、町家って何?って話でもありますが・・・。

改行入れときましたよん(にっこり)

投稿: あさみ編集長 | 2008.01.14 12:07

「セジュール ウィルモア京都仕様」で検索してたどり着きました。
今度賃貸で住む建物が大和ハウスのそれです(笑)
自分も親の実家が京都ですので、「どこが京都やねん」と心の中で突っ込んでいました。
まあ、愛知で多少歴史がある地域で建ってる分には割とかっこいい風体なのですが、
京都という単語には相当違和感がありますね~
実物の質感はイメージ図よりもかなり和風な感じでしたが、やはり京都には・・・

これについてコメントしているのはおそらく世界中でここだけだと思いますので、
貴重な内容でした(笑)
建築マップとか見て楽しめるクチですので、せっかくですのでその他の記事も
楽しませてもらおうと思います。
長文失礼しました。

投稿: 残雪 | 2010.03.30 00:15

コメントいただきましてありがとうございます。

なんだか、景観については、議論すべきことが多すぎて、ちょっと今手がつかない状況が続いております。しかし、ライフワークとせねばなるまいと思い決めているので、そのうち書きます。

ぜひぜひご愛読願いたいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: あさみ編集長 | 2010.04.02 11:29

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