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2006.07.25

大阪府庁本館の保存問題

大阪府庁本館保存に「耐震化コスト」の壁 改修77億円

 大正期を代表する建築物とされる大阪府庁本館(大阪市中央区)を保存すべきかどうか、隣接地に新庁舎の建設計画を抱える府が頭を痛めている。築80年となった今年、震度6強の地震で倒壊の恐れがあり、耐震化工事に77億円もかかることが判明した。貴重な歴史遺産を守ろうとする声が建築家らから強まり、他県でも旧庁舎を保存する例は多いが、巨額の支出には、深刻な財政難が大きく立ちはだかる。
──asahi.com-関西「060722の記事」より引用

歴史的建造物保存関連のニュースを一つ。財政の苦しい大阪府で府庁本館の保存問題が取りざたされている様子です。

記事によればIs値0.26だそうです。これは大地震時には倒壊の恐れがあるという数値になります。

難しい説明はハショリますが(っていうか難しい説明は編集長は苦手)Is値というのは構造耐震指標と呼ばれていて、建物の強度や粘り強さ、建物の平面形状、経年劣化の度合い、などを総合的に判断して数値化したものです。国交省では大地震(震度6〜7)の時に、損傷を受けても使用可能な性能としてIs値0.6という基準数値を定めています。編集長の実務上では、建物の耐震診断・耐震改修の時によく出て来る数値です。(学校の場合は文部省の基準で0.7と高めに設定されています。自治体によっては0.75と定めて学校の耐震改修を行っているところも多いようです)

では、新築の建物のIs値というのはどういうことになっているかというと、建築基準法に定める最低限の構造性能を満たそうとすると、概ねIs値0.6の建物ができるようになっています。

府庁本館は学校ではないですけど、文部省の学校の耐震性能基準の考え方で言えば、最も緊急度の高い部類に属します。ということで、大阪府庁本館は、放っておいてはいけない建物ということになるわけです。

さて、編集長は例によって、こういった歴史的な建物は、できるだけ保存した方がいいという立場を取ります。しかし金額が77億です。なかなか判断が難しいところですよね。上記により、使い続けるならば絶対に耐震改修が必要な建物です。だから、そーっと置いておこうというワケにもいかない。

ま、日本橋の5000億に比べれば小さいですが、それでも77億ですからね。巨額ですよ。それから、関西国際空港の建設費用の1兆5000億(うろ覚えです。ごめんなさい。今後予定されている2期工事の予算は1兆5000億で確かなはず)に比べたら、その約0.5%(消費税相当額の1/10)に過ぎませんが、それでも77億ですもんね。巨額です。りんくうタワーの650億円に比べたらまあ12%に過ぎませんが、それでも77億は巨額ですよね。(しつこいのでこれくらいにしておきますが、、、、)

編集長は常々、行政が儲ける必要はないと思っております。儲かるんだったら民間がやったらいいんです。公共の利益のために、赤字を生み出し続ける施設を運営することだって行政の仕事だと考えます。だからりんくうタワーだって、、、、でも、それもバランス問題かと、、。本当に必要なものにお金をかけたらどうですかね。

府庁本館が巨額のお金(日本橋や関空やりんくうタワーに比べ、、、\(- - )ペシッ)をかけて残すべきものなのかどうか、今日明日のことだけを考えるのではなくて、将来の大阪のありかたを考えつつ、真剣に議論して欲しいと思うなあ。

編集長?編集長は必要だと思いますよ。府庁本館。

さて、同記事の最後に山形先生がお調べになったというランキング(現存年代順)が載ってましたので引用させていただいておきます。なかなか面白い。

《現存する歴史的都道府県庁舎ランキング》  都道府県   完成年  現況
(1)三重   1879 明治村(愛知県)に移築保存
(2)北海道  1888 会議室や文書館
(3)兵庫   1902 県公館
(4)京都   1904 府庁舎
(5)山形   1916 県郷土館
(5)山口   1916 県政資料館
(7)石川   1924 活用策を検討中
(7)岐阜   1924 県岐阜総合庁舎
(9)鹿児島  1925 県政記念館
(10)大阪   1926 府庁本館
 ※完成年順、山形政昭・大阪芸術大教授調べ

──asahi.com-関西「060722の記事」より引用

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コメント

大阪府庁本館の保存問題に少々関心をもっております。
私も「できれば保存して欲しい」側なんですが…
しかしまあ、保存運動も阪急ビルの時と違って「市民の税金」となるといろいろやりにくい面が出てきますね~(^^;)

それと、阪急ビルのときもそうだったのですが、耐震の問題を出されると、いざ「建て替えます」って時に反論のしようが無くなってしまうというか。

投稿: のりみ | 2006.07.25 02:07

耐震補修って増し壁したり構造足したり、フレームかましたり…しか知りませんのでそこまでして残す意味があるのかは疑問です。その外観があって、内装があっての残す意味ではないかと。だからIs0.26だろうが残すんだったら「地震が来たら逃げてね」っていう事を徹底して耐震補修せずに残す。しないと駄目ってんならそもそも建物の寿命という事で惜しまれつつ永眠させてあげたいです。
甘いですかね?考えが。

投稿: たる | 2006.07.25 12:58

和歌山県の議事堂は1897年。山形先生も知っている筈なんだけどなぁ。

改修か、RCで模造するか、議論が紛糾しています。耐震性からいったら木造でかつ、無茶なトラス(なんちゃってトラス)で30mくらい飛ばしていて、Isは0.1以下だとしても不思議ではなく、震度4強で倒壊したとしても「あぁ、そうかもね。」と感じるほどの建物です。(現在非公開、未利用)

詳しくは、ポリタンコ:http://archi.sys.wakayama-u.ac.jp/~hira/index.php?itemid=97、http://archi.sys.wakayama-u.ac.jp/~hira/index.php?itemid=198、

投稿: hira | 2006.07.25 14:43

保存するかどうかで、今後の大阪府の文化財保存に対する姿勢がうかがえる気がします。府が取り壊しをしておいて、民間に保存を呼びかけることはできないでしょう。

でも使い勝手を考えると建替えになるような感じがします。
耐震性が本当の理由ではないでしょう。

投稿: ちはる支局長 | 2006.07.26 08:32

今回の場合、竣工時のオリジナルの配筋図など、構造設計まで踏み込んで
大阪府当局が耐震性を検討しているか、私は疑問に思っております。
 せいぜい、平面図から拾った壁量と、現在の一般的なRC造の壁の耐力
位で推計しているので、0.26なる数字が出ているのでしょう。
 戦前の特に関東大震災後のRC造の頑丈さは半端じゃないですよ。
 つくりからいえば、今日のSRC造に近い施工をしていますのでね。
 はっきりいって、こうした場面では針小棒大に物事を扱うのが行政の常套
手段です(それこそ改築の財源も、府民の皆様の税金だから、大いに問題
ありとプロパガンダを張って、ああ改築が必要なんだ、と誘導する訳です)。
 もちろん、現状のまま放置すれば良い訳ではなく、補強は必要ですが、77
億円の数字の中身の検討も必要でしょうね(これも吹っかけてます、たぶん)。
 それに、庁舎の新築は77億円では到底収まらないでしょうから、そのあた
りの費用対効果の検討も必要でしょう。
 ただ、あちこちに部署が分散している現状に対して、私としては、主要部分
保存+新築付加の手法を提案したいと思います。
 具体的には、日の字プランの現庁舎の約3分の5(東北南の外壁から2ス
パンと旧府会議場)を補強の上、残して、大阪城外堀ラインからの見えがか
りで通行者の視界に入らない形で、新庁舎を現本庁舎西側部分に付加して
いく方法が取れないのか、と思います。

投稿: ドクターフランキー | 2006.07.29 22:49

みなさんうがった見方をなさいますな。でもま、そんな気もしますが。
さて、大阪府庁舎本館の耐震性能についてのレポートは、情報公開の手続きを踏めば見られるはずです。コピーまでできるかどうか分かりませんが。
これを入手して、まじめに再生の方法を検討してみる、というのはどうでしょうか?民間の建物ではないので、逆にきちんと第三者が勝手に検討可能であるような気がします。賛同者を募ります。編集長がどこまでやれるか分かりませんが、とりあえず言い出しっぺの責任はとります。
ミー○ズのT代さんにも参戦して欲しかったりするなあ。元気かなあT代さん。

投稿: あさみ編集長 | 2006.08.03 19:02

大阪府庁舎は約束どうり保全再生させてください。

投稿: 明治建築研究会 | 2007.05.09 20:40

建替えが断念されたみたいですね。
「多額の建設費用を掛けるのは府民の理解が得られない」って、
建替えと改修、結局どっちが費用かかるの?

投稿: ちはる支局長 | 2007.05.17 09:48

保存が決定した事は素晴らしいことです。かけがえのない歴史建築は文化財として保全再生を図るべきです。後は文化財に選定することをお願いします。

投稿: 明治建築研究会 | 2007.06.17 14:38

保存が決定した事は素晴らしいことです。かけがえのない歴史建築は文化財として保全再生を図るべきです。後は文化財に選定することをお願いします。

投稿: 明治建築研究会 | 2007.06.17 14:39

ながいあいだ心配されていた、大阪府庁舎が保存されることはすごいことです。かけがえのない歴史建築は耐震補強をして文化財に選定されるようご検討ください。よろしくお願いします。

投稿: 明治建築研究会 | 2007.06.22 10:45

JR灘駅舎の保全活用を関係方面に呼びかけています。ご支援よろしくお願いします。解体工事を前にして保存を求める声が高まってきています。解体工事を前にJR 灘駅舎の保存をメールで呼びかけています。橋上駅の建設と別に現在の駅舎を歴史建築として活用をお願いしていただける方は、JR西日本、神戸市、兵庫県、内閣府へ保存要請のメールをお送りください。かけがえのない歴史建築の活用を実現できるまで働きかけていきます。歴史建築の活用をメールで呼びかけています。

投稿: 明治建築研究会 | 2007.07.22 21:13

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大阪府庁本館を見に行ってきました。ここはドラマ「華麗なる一族」に大蔵省として登場する建物。今までテレビ等で何度となく目にしているのですが、訪れるのは初めてです。 大正15年築。三階までの吹き抜けエントランスは... [続きを読む]

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