悪い景観100景
「美しい景観を創る会」(代表・伊藤滋早稲田大学特命教授)は、「悪い景観100選」の第一弾として70点を公表した。創る会のメンバーが実際に目にした景観を持ち寄り、合議の上で選定した。
東京・銀座のマツモトキヨシ、巨大な看板が並ぶ郊外の道路、コンクリートで三面が覆われた神田川、農村地域の電線・電柱などが選ばれている。創る会のウエブサイトで公表して、広く反響を募る。
──「日経BP建設 051215の記事」より引用
[編集部注]美しい景観を創る会のサイトはこちらです。
美しい景観を創る会
http://www.utsukushii-keikan.net/
『あさみ新聞』としては、まず「美しい景観を創る会とは?」から始めます。メンバーは伊藤滋氏をはじめとする12名。建築家から小倉善明氏、宮本忠長氏が参加、照明デザイナーの石井幹子氏、土木や造園、農村計画の専門家や、彫刻家の新宮晋氏も。事務局は日本地域開発センターが受け持っている様子です。
同会のサイトでは2つの宣言(案)というのを掲げているので、宣言のタイトルだけ引用しておきます。
第1の宣言:
「日本は美しくない」ことを認める宣言(悲しみを表す宣言)
第2の宣言:
「日本を再び美しくする」ことを国民運動とする宣言(美の国再興の宣言)
──「美しい景観を創る会--組織情報--」より引用
細かな内容はサイトで見てもらいたいのですが、第1宣言では「今や、日本の国土は世界で一番醜いものかも」とか日本人の心のあり様を問題にしてみたり、「日本に滞在を希望する有能なる外国人の数も激減し」など、なかなか辛辣です。
第2宣言では、最後の「取り返しがつかない所まで来てしまったとの声を撥ね退け、21世紀の前進する豊かな日本を目指して、われら景観に責任を有する職能集団が行動を開始することを、今日、宣言する。」と述べているあたりが、現状を嘆くだけでない、職能集団の心意気が垣間見えなくもないというところでしょうか。
さて、
以上の記事、実は12月の半ばに書きかけていましたが、サイトでは、12月20日以降に『悪い景観100景(のうちの70景)』を発表するというふれこみだったので、しばらくの間アップするのを控えていました。実際に12月20日前後に発表されたのですが、かなりのアクセス数があったのか、一時閉鎖をしていた様子です。(お、何だ?腰砕けか?と思いましたが、いまは復活しています)美しい景観を創る会 --悪い景観100景--を見てみてください。
さすがに訴訟も辞さないと言うだけあって(どうも伊藤節が効きすぎている感はあるものの)なかなか辛辣ですね。かなり面白い試みかと思います。しかし、編集長、なんだかちょっとあんまりこのやり方賛成したくないなあ、というわだかまりを残しています。「全面反対!」ではないんですけどね。
ところで、この100景の発表に時期を合わせて、というか連動しているとしか思えないタイミングで、小泉首相がこんなことを言い始めました。
小泉純一郎首相は26日午後、奥田碩日本経団連会長らと官邸で会い、東京・日本橋の伝統的な景観を取り戻すため、首都高速道路を地下に潜らせるなど高架の撤去構想の実現に向け、協力要請を受けた。
首相は「とてもいいことだ。来年、首相を辞めるまでに基本方針を出してほしい」と全面的に賛同し、前向きに取り組む意向を伝えた。
首相はこの後「昔からの名所の上に高速道路が走っていて景観に良くない。早くスタートした方がいい。復活すれば、世界的な名所になるのではないか」と記者団に語った。
──「Sankei Web 051226の記事」より引用
ほおほお、小泉さんもそんなことを言い始めましたか。一億総「景観」状態に突入ですか?と思いつつ、やっぱりなんだか釈然としない編集長なのですよね。ほんとにこんな感じで一億総「景観」時代に突入しちゃっていいんだろうかと思うのです。
新年早々、この釈然としない感じは何なのか。これは特集記事「景観シリーズ」をぶちあげるしかないかも知れません。え、ほんとにやるのかって?
うーん。いつ始まるかわかりません。準備中。
【060108追記】
考え過ぎかも知れないけど(きっと考え過ぎじゃないけど)編集長としては、こういう記事もきっと無関係ではないと考えています。まあ日本橋周辺の皆さんにとっては熱い話題なんだろうけどさ。
200年前の『にぎわい』鮮明に──『熈代勝覧』“日本橋”に里帰り(中日新聞060107の記事)
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コメント
おくればせながら、あけましておめでとうございます。
「景観」っていうのは、「お前には景観が理解できるだけのセンスがない」というような脅迫を常に迫られているよーな感じがして、実に恐ろしいのでした。
私など、悪い景観100選の8番など、景色の立体感が増していいのでは、思ったりします。
景観って、一つをみんなで共有しているというところが、実に怖いところで、結局、声の大きな人の景観になびくのかなって思ったりします。
景観法ができて、景観権も出来ちゃったのでしょうか。国立マンション訴訟の、「景観はひとそれぞれ受け止め方が違うし、人それぞれが権利を主張すると収拾がつかなくなるから景観権は認めない」という2審判決って好きです。でも、じゃ、景観は行政でやるしねといわれても困るけれど。
投稿: ageee | 2006.01.07 20:25
ageeeさま。お久しぶりです。
ageeeさんの投書に、何か恐ろしく大きなヒントが隠れているような気がして「ちょっとラッキー」な感じになってます。「一つをみんなで共有しているというところが、実に怖い」という感覚は、編集長にとっては目からウロコ(「怖い」とセットになっているところがミソ)。
景観権ってのは難しい概念ですね。定着するには時間がかかるだろうし、定着した時には、結構別ものになっているような気もします。
そんなワケで、ぼちぼちやりますんで、本年もよろしくお願いいたします。
投稿: あさみ編集長 | 2006.01.07 22:12
お邪魔致します。「けんちく広場」のTempei編集長です。わたくしのハンドルネームが某編集長のまねではないかとのご指摘もさる方から有ったようですが、確かにまねでございます。ただ、コピーライトを取っておられるとは考えにくいため、このまま通させて頂きます。
さて、本題。
大変興味深い話題です。有り難うございました。
私、「どっかひっかかる」気持ちの悪さを感じます。それが説明できない自分がもどかしいのですが。
ageeeさんのご意見も大変参考になりました。国立の二審判決に対するご意見も、大変分かりやすく、勉強になります。
投稿: Tempei編集長 | 2006.01.08 08:57
おやおや、tempeiさんじゃないですか。まあ、そんな物騒なことを言わんと、、、。そもそも「○○編集長」でコピーライトなんか成立するワケないじゃないですか。そういうところをことさらに騒ぎ立てるセンスをこそ、その「さる方」はおっしゃっているのではないでしょうかね。
さて、その「どっかひっかかる」を解明するためのシリーズを企画中です。記事を出しつつ特集記事の編集まで行うのはなかなか困難な身の上ですので、できればご意見をいただきたく思います。どうかよろしくお願いします。ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2006.01.08 11:52
いくつかトラックバックさせていただきました。
私としては
景観法は、景観に関する種々の問題の答えなのか、問題提起なのか
景観に関する市民運動というのは景観法のもと、どのような方向性になるのか
というようなところが気になるところです。今後の展開に期待します。
投稿: ageee | 2006.01.08 14:12
あさみ編集長さま
はじめまして。トラックバックさせていただきました。
気がつけば景観ネタばかり追いかけている駆け出し(?)記者です。
なんだか釈然としない感じ、同感です。
これからちょくちょく寄らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
投稿: 鳥生 倫 | 2006.01.15 22:21
鳥生さま
ご購読いただきありがとうございます。(『あさみ新聞』では、サイトへのご訪問を「購読」と呼び習わしております。コメントは投書ということになります。プロの記者の方にそんなことを言うのもお恥ずかしい限りではございますが、、、。
実は本記事執筆にあたっては、かなり鳥生さんのところを参照しておりました(恥。トラックバックをお返ししておきます。
読者の皆様
鳥生さんのところ、おススメですよ。
投稿: あさみ編集長 | 2006.01.19 21:12
あさみ編集長さま
鳥生です。こんにちは。
急な話なのですが、会社バレしそうなので一旦ブログを畳みます。
お勧めいただいたところに恐縮ですが...
こちらは今後も「購読」し続けますので、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 鳥生 倫 | 2006.01.23 01:25
あらあら。鳥生さん。なんだか事情があって大変そうですね。
しかし、会社にバレても別に問題なさそうな気がしますが、、、。
それでお金を稼いでいるワケじゃなし、かえって会社が奨励しても良さそうなものですが、、、。などと駆け出しの編集長としては思います。
ともあれ、大事に至らないことをお祈り申し上げております。
また、どこかでひっそりと始めて下さいね。
あ、編集長?
編集長は、これが本業ですから(笑
投稿: あさみ編集長 | 2006.01.25 06:58
朝日新聞で拝見しました。
論議を喚起するという点ではなかなかの妙案ではないかと感じています。
わたしもこのことについて、エントリーしました。
トラックバックもぶしつけのように思いましたので、コメントをいれさせていただきました。ご多忙中恐縮ですが、よろしかったらお越しください。
投稿: つぼみ | 2006.05.28 10:47
つぼみさんに続いて、私も同様です。エントリーとコメントをさせて頂きました。こちらの記事を一部引用させて頂きました。ご参考まで。
投稿: FAD | 2006.05.28 12:03
はじめまして。べろ蔵と申します。記事をトラックバックさせていただきました。「あさみ新聞」あまりに面白いので、定期購読させていただきます。建築とか、都市計画とか全くの素人ですが、とてもつぼにはまる話題です。
投稿: べろ蔵 | 2006.06.04 10:22
>べろ蔵さま
おいでいただきありがとうございます。ま、編集長も素人に毛の生えた程度のものなので、あまり身構えずにお願いします。いろいろとご意見下さい。
今後ともよろしくお願いいたします。
ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2006.06.04 14:43
こっそりトラックバックを送っていたのですが、まさか半年以上前の記事TBにお返事を頂けるとは思いませんでした・・・しかも2つもTB送っておりましたね。申し訳ありません。
またひっそりこっそりと覗かせていただきます。ありがとうございます。
投稿: (あ) | 2006.11.04 22:45