« 日本最古の建設会社 | トップページ | 県立陶芸美術館のジミナリエ »

2005.12.18

都市景観に対する意識

景観問題に関心低い中部圏 中部開発センター調査
都市や街並みなどの「景観についてよく考える」人の割合は、日本人全体では回答者の11.0%だったのに対し、中部圏では同7.9%と、景観問題に関する中部圏の人の意識が低いことが、研究機関の中部開発センター(名古屋市)が12日、まとめたアンケートで分かった。

調査によると、「住宅購入時に優先する項目」で多いのは、全国、首都圏、近畿圏とも(1)価格(2)交通の便(3)治安(4)景観—の順。ところが、中部圏の場合、上位3項目は全国などと同じだが、(4)教育環境(5)デザイン(6)景観—と続き、景観の優先順位が低かった。
──「Sankei Web 経済 051212の記事」より引用

中部開発センターが行った調査なので、記事は中部中心に描かれていますが、この調査、全国レベルで行われている上、日本国内に住む外国人を対象ともしていて、日本人の地域別の意識の違い、外国人との意識の違いなどを知るのには、なかなか面白いことになっています。有効回答数も(中部を中心にしているものの)5,219人と結構な数なので、データとしても割としっかりしていると考えてよいでしょう。

面白かったのは、まず、諸外国との住宅購入時に重視することの優先順位でした。第1が「価格」であるのは各国共通ですが、アジアを含む諸外国の人たちの意識では、「交通の便」よりも「治安」が優先されるのに対し、日本では「価格」「交通の便」「治安」「景観」という順になるというあたりが、お国事情を反映しているなあ。と。アジアを除く諸外国ではこの順が「価格」「治安」「景観」「デザイン(※1)」or「教育環境」と続くという感じです。
統計データから、編集長が読み取るのは、「地域の景観が良くなることについては賛成だけど、高い金出して建ててんねんから、自分の家の姿形ぐらい個人の自由にさせてえな」という総論賛成、各論留保の全体傾向でしょうか。しかし、統計の結論として日本人の景観意識は高くない(特に中部で)ということになっておりますが、編集長としては「結構思っていたよりも皆景観について意識してるんだなあ」という感想です。

以上のデータはこちらにあります。
中部の景観意識中部開発センターのサイトより)
※同ページ内にpdf書類へのリンクもありました。

【投稿直後追記】
読売新聞にも似たネタを発見しました。
町の景観 関心薄い中部
ここにある

開発センターは「景観に関心が薄いと、(行政などが)景観の整備をしようとしても、住民の同意を得にくい可能性がある。魅力ある街をどうつくるか地域で議論し、目指すべき街のイメージを共有することが必要」と話している。
──「YOMIURI INLINE 中部発 051214の記事」より引用

というあたりが肝心かもしれません。「皆で議論」「目指す街のイメージ共有」というのが基本であると編集長は考えていますので、これには賛成なのですが、実は、そこに問題がないワケでもないです。以前のエントリーまちなみづくりマニュアルとその投書欄でも話題にのぼりましたね。ぜひそちらもご参照あれ。
【ここまで追記】

さて、いつものように、話は微妙に逸れていきます。

編集長は、ここのところ地域景観に関するお仕事が多くなっておりまして、あちこちで勉強会や、景観まちづくりワークショップのお手伝いをしております。全体の傾向を言いますと、最近では、いわゆる「歴史的まちなみの保存」に関しては一巡した感じで、ある程度の成果を上げつつあるという状況なのかなと思っています。

というのも、最近ではいわゆる「古い町家の立ち並ぶ地区」ではなく、どちらかと言えばあまり古いものが残っていない所や、オールドニュータウンのまちなみ景観、といったことがお仕事のテーマの主流になりつつあるからなのです。しかし、まあ、これは単に古い歴史的まちなみのことなら編集長以外にも偉い先生はたくさんいらっしゃるワケで、歴史的まちなみに関しては編集長にお鉢が廻ってこないという事情にもよるのかも知れません。

昨年から景観法が施行されるなど、地域景観・都市景観というのは(ホントかウソか知りませんが)全国的にも大きなテーマになりつつあるようです。少しずつですが日本の皆さんの景観に対する意識が現れ始めているようでもあります(統計によれば景観法の認知度は約50%と、決して高いとは言えませんが、、)。

で、

そのこと自体は良い事だとは思うのですが、たいがいの場合、景観に関する議論が「建物の姿形」や「市街地の姿形」(※2)の話に終始するあまり、私有物の姿形を規制しようとするなんて「私権の制限ではないか」とか「自分のものぐらい好きにさせてくれ」といった反応を引き出すことになりがちなところに、戦略のなさ、というか、なんというか、、、なんとなく納得のいかないものを感じています。

そこで、編集長としては、なんとか「良好な地域づくり」あるいは「魅力あるまちづくり」という、少し大きな観点から地域景観を捉える枠組みができないだろうかと模索中です。そして、今のところの編集長が地域住民の皆さんに提案しているのが「景観まちづくり」なのですが、しかしこの「景観まちづくり」というのも、キャッチコピーだけがあって内容が理論化されていない(笑)ので、説得力を持ち始めるのにはもう少し時間がかかりそうです。


一方で(話がとっちらかっていて申し訳ないのですが)、「景観」は間違いなく「公共の財産」「共有の財産」であろうと考えています。兵庫県内で言えば城崎町などで、そういった意識がずいぶん醸成されているようでもあります(このあたりはもう少しきちんとまとめたいけど)。
そして「私権の尊重」と「公共の財産」の概念をどのポイントですりあわせるか、というあたりを地域ごとに考えていく、あるいは、常に書き換え可能なルールとしていく、というのが、今の所の編集長の答えなのでしょうか?(と自問自答したり、、、、、って何のこっちゃ)


相変わらずまとまりませんね。<どうもこれは風邪のせいではなさそうです(笑)

※1
この「デザイン」というのも意味不明な概念かなあ、と。このアンケートでは「デザイン」と「景観」との関係をどのように理解しているのでしょうね。(というワケで、あとで※2も参照くださいね)
※2
あえて「建物のデザイン」とか「市街地のデザイン」と言わないのにはワケがあります。編集長は最近(師匠の影響を受けての考えですが)「デザイン」という言葉の使用に慎重になっております。つまり、「デザイン=奇抜な意匠」あるいは「デザイン=単なる見かけの装飾」というような理解に抵抗してみてもいいかなと思っています。
デザインという言葉にそういう意味があることは確かですが、デザインというのは、もう少し巾の広い概念ではないかと考えていて、「機能を十分に満たしていること」や「使いやすさ」や「安全性」「価格」、そしてもちろん「見た目の良さ」、さらにはそれをとりまく「人間関係」「コミュニティ」といったもの、こういったものを総合した『付加価値』をデザインであると理解したいのです。
そして、そういった『付加価値』をモノに付与する行為が「デザイナーのお仕事」ということになるのではないかなあ、と思うのです。このあたりの考え方は、まだうまくまとまらないので、皆さんのご意見をお聞きしたいなあと思っておりますです。どうぞよろしく。

|

« 日本最古の建設会社 | トップページ | 県立陶芸美術館のジミナリエ »

15都市版 (都市計画)」カテゴリの記事

コメント

なかなか本質を突いたテーマ設定と切り口、相変わらずの頭の良さを感じます。
ところで、「景観まちづくり」ですが「景観」と「まちづくり」をセットにした所にみそがありそうですね。
どんな展開になるのか大変楽しみです。
それと、マニュアル化するのがよいのか、所詮、そんなことをしても安物の役人が、勝手にゆがめて使うのが関の山なので、個々対応した方がいいのか。
マニュアル化するにしても、複数のパターンを設けないと、とんでもないことが起きそうですね。
悩み所は一杯ありそうですね。

投稿: Tempei編集長 | 2005.12.18 15:45

tempeiさんに頭良いとか言われると、なぜかイヤミにしか聞こえませんが、、、(笑。悩みどころはいっぱいあります。今お手伝いに伺っているところは、モノづくりのまち。
常に新しいモノを求めて、作家さんたちがアグレッシブかつアバンギャルドな創作活動を行い続けている地域なのです。そうした地域資源を持つまちでは、旧守というよりも、新たな価値を創造することこそが目標であったりするわけです。そういったところで、景観形成基準のようなルールが本当に必要なのか、必要であるとすればそれはどんな形であるべきなのか?というあたりで悩んでおります。

投稿: あさみ編集長 | 2005.12.19 11:17

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26464/7678684

この記事へのトラックバック一覧です: 都市景観に対する意識:

« 日本最古の建設会社 | トップページ | 県立陶芸美術館のジミナリエ »