« バウハウス発見 | トップページ | ユニバーサルデザインとは?(その2) »

2005.09.01

ユニバーサルデザインとは?

 日本ビクター株式会社は、ユニバーサルデザインを採り入れた、地上デジタル対応テレビ用簡単リモコン「RM-A210」を発売する。
(中略)
 リモコンの側面にソフトな感触のゴム系エラストマー素材を使った「ラバーグリップ」を採用。握りやすいフォルムとの相乗効果で、持ちやすさを向上した。 大きくて操作しやすい「でかボタン」、コントラストが強くクッキリして見やすい書体、機能別の配色など、使いやすいユニバーサルデザインを採用した。 そのほか、電池交換時に乾電池をはずしても、約30分間メーカー設定を保持する仕様や、電池寿命を約2倍にする「ローパワーモード」を搭載した。
──「ユニバーサルデザイン採用の地上デジタル対応テレビ用簡単リモコンを発売」より引用

今日の記事は、テレビリモコンのユニバーサルデザインの話題。
まあ、まずはリンク先を見ておいて下さい。見ましたか?

では、本日の話題。

建築やまちづくりのお仕事をしておりますと、ユニバーサルデザインとは何か?というような問いに直面することがしばしばあります。バリアフリーと、どう違うの?って聞かれても、即座にその違いを分かりやすく説明できる人は、そんなに多くないのではないでしょうか?実は、編集長もその一人。

概念として、バリア(障壁)をなくそう(バリアフリー)というネガティブな思考方法と、誰でも使える(ユニバーサル)というポジティブな思考方法とに差があるという感じは分かります。そういう意味ではユニバーサルデザインっていうのは、バリアフリーよりも大きな概念だということですよね?違うのかな。

理念型としては、これでよく分かるのですが、エンジニアとしては不満が残ります。要するに理念だけでは「まあ、考え方は分かったけど、実際どんなモンがユニバーサルっちゅうことやのん?」という疑問を解決できない。(というか、それを解決するのがエンジニアちゃうんかい、と言われると「ぎゃふん」と言わざるを得ませんけど(笑)

具体的な例として、よくシャンプーのビンの例があげられます。シャンプーとリンスを区別するために、シャンプーのビンの方には胴体にギザギザがついてたりします。これで、目をつぶったままでもシャンプーとリンスを間違えなくてすむ。眼鏡がないとあんまりよく見えない編集長も、これに助けられたりします。

ということで、誰にでも便利なデザイン。それがユニバーサルデザインというワケ。

で、今日の引用元の記事を見ると、
握りやすいフォルム、とかグリップとか、見やすい書体とか。
「おお、それがユニバーサルかいな。なんやら、いつもデザイナーが考えてることと一緒やんけ」感が漂ってきますね。使いやすくて美しいものを作るのがデザイナーの使命ではなくて?だとしたら、ユニバーサルってわざわざ言うのはなぜ?

いわゆるグッドデザインとユニバーサルデザインとの境目はどこにあるのか?
どうやら別の視点が必要な様子です。皆さんご意見ください。

|

« バウハウス発見 | トップページ | ユニバーサルデザインとは?(その2) »

21社会面1(トイレ・ユニバーサル)」カテゴリの記事

コメント

本当にユニバーサルデザインって、あるのかな。誰でもが使いやすいってことは、実は誰もが使いにくかったりして。特定の利用者に特定してデザインする考えは、対極にありますが、これは時代遅れなんでしょうか。

投稿: Tempei | 2005.09.01 20:00

さっそくのご意見どうもありがとうございますです。

編集長の直感として『1000人を喜ばせるには、まず1人から』というテーマがあって、そういう意味で、Tempeiさんのおっしゃる「特定の利用者に特定してデザインする考え」っていうのは、別にユニバーサルデザインの対極にあるとは感じていませんでした。

話をもう少し広げて考えれば、特定の利用者向けにカスタマイズ可能なデザインというのは、ユニバーサルなのかも知れませんね。

今回の記事で言いたかったことは一つ、引用元の記事について「そんなんでユニバーサルをうたっちゃってイイのかい?」ということだったのですが、、、。どうもユニバーサルデザインという言葉も消費されつつあるのかな、などと感じる今日この頃です。

ってコメントに結論がないですが、、、、。

投稿: あさみ編集長 | 2005.09.01 20:23

前にも同じことをどこかで言ったかもしれませんが、もいちど。

「ユニバーサルデザイン」とは排除しないこと、尊厳を保つこと、これがポイント。(尊厳、とは例えば障害者が、障害者専用のモノを使うことで、世の中に悪いなーと感じてしまうこと。たとえば、ある障害者にあわせたために、大変使いにくいものになると、みんないやがる。それは尊厳を保たない。)「黒人枠」とか。

Universal Designは、Barrior Free Designに対抗してつくられた、のではなく、Desing for Handycapedに対抗してつくられたのだと思う。それで、Universalと言った。非差別者に対する特殊なデザインが、かれらをさらに特殊な立場にする。ダブルスタンダード(二重基準、例えば女性と男性にそれぞれ違う道徳や評価等の基準を設け、何の矛盾も感じないこと)への対抗が、ユニバーサルデザインにはある。

ま、実際には非常に難しくて、「だれでも」ということが「だれかを確実に抑圧する。」 「だれでも」が無理でも、なんとか努力することが重要なのでしょう。
ユニバーサルデザインとは、そういう運動であると、私は考えます。
「グッドデザイン」の、何が「グッド」なのか?に対して、ユニバーサルは「排除しないこと」を特に重要視せよ!という運動なのではないでしょうか?

投稿: hira | 2005.09.01 20:35

黒人枠の話が出ましたが、例えば特定の階層の生活条件を改善するために、特定の階層だけに採用条件を緩和するってことありますよね。これがその階層の人々の運動で勝ち取られてきた場合、尊厳を冒すとは言い難いと思うのですが。

投稿: Tempei | 2005.09.01 20:45

hiraさま
コメントありがとうございますです。
>前にも同じことをどこかで言ったかもしれませんが、もいちど。
当事者主権〜施主当事者学のススメ〜のエントリーにいただいたコメントがそうでしたね。あの時にも編集長が書いたことなのだけれど、もう一つ編集長の頭は整理できていないのですよ。

ただ、hiraさんの今回のご意見を読んで、なんとなく分かりかけてきたことはあります。

「排除しない」「尊厳を保つ」というのはよくわかる。それはすごくよく分かる。そして、それが運動だと言われれば分かりやすいです。倫理だと言われても分かりやすいかもしれません。「排除しない」という否定形で語られる部分は、もう少し売り出し方として考えた方が良いかもしれませんけど。

実は、今回、特に問題にしたかったのは、具体的なものの形としてそれが立ち現れたときに、どういう「デザイン」となりうるかという点だったのです。
ここで取り上げた具体例としての、リモコンとかシャンプーとか、そういったものがどのように、その倫理的な意味でユニバーサルであるのか?という疑問。

そういうことを考えると、ユニバーサルデザインとは、デザイン運動ではなくて倫理運動、社会システムの変革運動と理解すればいいということでしょうか。デザインといっても、プロダクトのデザインというよりも、プロセスのデザインや、社会システムのデザイン、プロダクトでいえば、形をつくる際のアプローチ手法のデザインってことになるのかなあ、と漠然と感じています。


tempeiさんの話は微妙ですね。tempeiさんらしいといえばらしいけど。
ここではあえて、tempeiさんのご意見に若干の疑問を呈しておきます。

まず第1に、そもそもそういう枠の存在そのものが問題だという所から議論はスタートしているワケで、そこをひっくり返すと、ここでの議論にはならないんじゃないかなという率直な感想をあげておきます。
2つめに、もし仮にその議論をひっくり返した所からスタートするとして。
運動によって勝ち取った当事者はそれで良くても、その後継者たちに継続的に尊厳を保ち続けるには、それが常に闘争でなくてはならないのではないでしょうか。常に勝ち取り続けなくてはいけない。そういう社会のあり方は、問題の溝を深くしているだけではないかと感じられます。その点はどうお考えになりますか?

編集長も、実は時間をかけて考えているヒマがありません。うまく伝わるといいんだけどな。そして、うまく議論ができるといいんだけど、、、。

ともあれ皆さんのご意見をお寄せください。

投稿: あさみ編集長 | 2005.09.01 21:53

語弊があるので、面と向っては余り言われませんが、バリアフリーが物理的側面に重点を置いているのにたいして、ユニバーサルデザインは、論理的側面というかコンテンツというか、よーするに

「ばかにもわかる」

というようなところまで包括しているのだと、私は思っています。排他的でないというような意味合いもあるでしょうが、そういう意味では、たとえば、赤十字のマークはユニバーサルデザインではないのでしょうね。

これは、没個性とほぼ同義のようにも思えます。「あくもなく、排他的でもないが、美しいもの」が求められているような感じですね。私に言わせれば、みんな、スカンジナビア・モダーンのような方向性に逃げ込んでしまうような感じもしないでもない。

もうひとつ思うことは、ユニバーサルデザインの立場に立てば、緯線は引けるが経線は引けない。つまり、経線は、どこかに特異点(現実にはグリニッヂ)を設けなければいけないということろが、ユニバーサルデザインではないと思うのです。赤道というのは地理的にも意味のある線だけれども、経度ゼロ度線というのは、特に意味はない勝手に決めたもの。また、ゼロ度線が何とか決まっても、右回りにするか左回りするかというのがまた問題。

この、右、左の問題は、物理的にも大きな問題でしょう。

右利きにも左利きにも使いやすい鋏をデザインしなさい。

投稿: ageee | 2005.09.01 22:12

ageeeさんどもです。
なるほど。

と、言いつつますます分からなくなってきました。
緯度軽度の話はよく分かるし、はさみの話も分かるんだけどなあ(笑
「ばかにもわかる」的視点でいえば、シャンプーも分かりやすいですね。
リモコンもそういうことかな。

しかし「ユニバーサルデザイン=フールセイフ」ってのもなんだか直感的には、どうかなって感じがしちゃいます。あ、そこが語弊ってことかな?

投稿: あさみ編集長 | 2005.09.01 22:34

>>「ばかにもわかる」的視点でいえば、シャンプーも分かりやすいですね。

否。断じて否。だって、シャンプーのぎざぎざにしても知らない人にはわからない。そーゆー意味では、大変に難しい記号です。

えーと、どっちがシャンプーだっけな。というのは、ユニバーサルデザインではない、ということが言いたいのです。そして、リンスと浴槽洗いの洗剤が見分けられないようでは、ちっとも「ユニバーサル」じゃない。

そういう意味では、シャンプーもリンスも結局はわかりにくし、リンスなんてどうせ気休めだし、ふくまれるシリコンは下水処理施設の敵だし、リンスはやめよう、というのが、よりユニバーサルデザインかもしれない。

ユニバーサルデザインというのを突き詰めると、得られるものより、失うもののほうが大きいのでは。

投稿: ageee | 2005.09.01 23:04

おお。「断じて否」ですか。うーむ。
でも、「フールセイフ」をベースにしたら、おっしゃることは確かに正しいと思います。

知らない人にはわからない、、、。そうだなあ。
ってことは、テレホンカードのくぼみとか、お札の浮き出しマークとかも
ユニバーサルではない。ということですよね。

ありゃりゃ。やっぱりよく分からなくなってきました。
あれってユニバーサルデザインのお手本のように言われてますよね。
そのあたりのageeeさんの理解の違いを示していただくと
分かりやすくなるかなあ。

参照サイト(みんな三重県のサイトから)
シャンプー容器のギザギザ
テレホンカードの切れ込み
使い勝手がよい自動販売機
ノンステップバス
缶ビールの点字表示
選べる公衆電話
多機能トイレ
エレベーターとエスカレーターと階段


「リンスなんてどうせ気休めだし」には賛成です。
どうせ使わないから邪魔で、間違えるとちょっとイラってします。

で「リンスはやめよう」には賛成してもいいんですが、
「リンスはやめよう」=「ユニバーサルデザインである」となると、
また、ユニバーサルって何?というところに戻ってしまうなあ。編集長としては。

投稿: あさみ編集長 | 2005.09.02 10:55

多分、ユニバーサルデザインというのは、『小さなデザイン』なんですよ。工業製品は大量生産かつ単純に性能を競うだけでは立ち行かなくなってきたから、今更、使い手を想定して、こまかな部分をきちんと詰めていくということを実践し始めていると個人的には思ってます。もう一つは技術が微細化して、形は内部構造から決まる訳じゃもうなくなってきているので、ユーザーの使い方からアプローチしようとする発想が出てきている訳です。

投稿: 202 | 2005.09.02 14:56

お久しぶりですー。

投書しようと思ったんですが、なんか長くなっちゃった上にだんだん関係なくなってきたのでトラックバックさせていただきました(笑)

投稿: エヌ | 2005.09.03 23:01

ネット復帰しました。

遅れて失礼ですが、以下に参考文献をあげておきます。

川崎和男(デザイナー)「日本型ユニバーサルデザインを構築するために」
川内美彦(建築士)「ユニバーサル・デザイン バリアフリーへの問いかけ」

投稿: hira | 2005.09.06 21:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26464/5739148

この記事へのトラックバック一覧です: ユニバーサルデザインとは?:

» ユニバーサルデザイン [I. M. G. D.]
というわけで久々に更新復活のあさみ氏からのネタ振りに応えてみよう。つーか本職の方々を差し置いてイイカゲンなこと言っちゃうよ(笑)。 [続きを読む]

受信: 2005.09.02 11:09

» ユニバーサルデザイン [.3]
あさみ新聞さま、ユニバーサルデザインとは?にTB。 とりあえず、ユニバーサルデザインについて確認しておきます。 ユニバーサルデザインの定義とは、 --- 様々な人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることであり、デザイン変更や特別仕様のデザインが必要なものであってはなりません。 --- 原則としては --- 原則1:誰にでも公平に利用できること 原則2:使う上で自由度が高いこと 原則3:使い方が簡単ですぐわかること 原則4:必要な情報がすぐ... [続きを読む]

受信: 2005.09.03 22:51

« バウハウス発見 | トップページ | ユニバーサルデザインとは?(その2) »