「もったいない」に関する一考察
先ごろ、ノーベル平和賞を受賞されたケニアの環境副大臣、ワンガリ・マータイさんが来日されました。そのマータイさんが「私は来日初日のインタビューで"もったいない"という日本独特の言葉を知った。私の一番の関心である資源の持続的活用を訴える上で探し求めていた言葉に出会った感動の瞬間だった。」と語られたのです。さらに、マータイさんは、翌3月にニューヨークの国連本部で開かれた会議では、"MOTTAINAI"をみんなで唱和しようと呼びかけました。
私たちは、このアフリカからいらした一人の女性を通して、もう一度"もったいない"という日本語の重要さ、すばらしさに気付きました。
(後略)
──「"もったいない"の心を世界へ」小池百合子(環境大臣)、小泉内閣メールマガジン第184号(050414)より引用
ケニアの大臣が「もったいない」を広めようとしている、というニュースはどこかで見ていましたが、その詳細事情については良く知りませんでした。小池さんの文章で、そのヒトが環境副大臣であったこと、女性であったこと、来日初日に「もったいない」という言葉を知ったことなどを知りました。
このニュースのどこに編集長が感心しているのかというと、もったいないという概念を正確にケニアの方に伝えた人のコミュニケーション能力に、なのです。そして「もったいない」という概念を正確に理解したこのマータイさんのコミュニケーション能力にも敬意を表したい。
突然「もったいない」の意味を説明せよと言われたら、日本語で説明して良かったとしても、編集長は困ります。「もったいない」は「もったいない」以外の何ものでもないような気がするからです。
しかし、普段から「説明できないことは、理解していないこと」と思っている編集長としては片腹痛い感が漂います。これでは「スローまちづくりすと」あさみの名折れだということで、今日は「もったいない」について考えます。
冒頭に引用した環境大臣小池さんの文章によれば、もったいないとは「そのものの値打ちが生かされず、無駄になるのが惜しいこと」を意味するのだということ。
うーむ。なんかコレだけでは説明し切った感じがしません。確かに間違ってはいないのですが、もう少し深みのある言葉のような気がします。
そこで、手元の辞書を引くと
<1>ねうちが十分に発揮されずに終るのが惜しい。ということらしいです。
<2>恐れ多い。有難い。
<3>神仏・貴人に対し不都合なふるまいだ。罰があたる。
──「岩波国語辞典第5版」より引用
なんとなく読めてきました。環境大臣小池さんの説明では、「恐れ多い」とか「罰があたる」あたりのニュアンスが抜け落ちているのです。ここから先は編集長の直感的判断によるものですが、世の中のたいがいの場所やモノには神が宿るという発想(これを八百万(やおよろず)の神的な発想と言っていいのかどうかは知らないけど、とりあえず言ってみる、、)に立てば、モノを捨てるあるいは無駄にするということは、神を捨てる・無駄にするという感覚に直結するワケで、これが「恐れ多い」とか「罰があたる」につながっていくのではないか、と考えました。
あれ?だとすると「勿体ぶる」って一体どういう意味なんだ?勿体って何?
また手元の辞書を引いてみます。
勿体=ものものしいさま
ほー。そうか。
でも、やっぱり良くわかりません。もったいないって「モノモノシクナイ」ってことか?
割と編集長はモノに人格を見出すタチです。(それは自分のPowerBookに名前を付けるような方向には進みませんが、、)そして、神の存在そのものは信じずとも、その神の力は信じてもいいななどとノンキに考えている半無神論者ですので、あまり宗教的な匂いを感じずにスルーして下されば幸い。
今日の「無理やり結論」
「もったいない=モノに人格を見出し、これを無駄にすることを恐れること」
しかし、これをマータイさんに伝えるのは、やっぱり編集長の手に余りますね。
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コメント
以下雑感
○説明のしかたについて
難解な単語の意味を、複数の安易な単語を並べて
説明するよりもやはり、
こんな時に使うねんでぇという具合に使用例を話して
あげる方に重点をおいてみてはどうでしょう。
辞書にも例題はありますし、地方で方言の説明を聴く
時、標準語に該当する単語が見当たらない時は特に
そのへんで説明してくれますよね。相手は。
○大臣のニュアンス抜け落ちについて
いいとこつきますね。あさみ局長。
昔、CMかなんかで、
「そんなことしたら、もったいないオバケがでてくるぞー」
みたいなんなかったでしたっけ。
○勿体ないについて
漢字は当て字でしょうか。
いやね。このまえ神戸学校で、谷川俊太郎先生が
外来語としての漢字と、日本独自のやまとことば
について話してましてね。
前置きとして、詩人である彼は、特に音読時のリズムの良さなんかもあって後者のが好きだと。擬態語、擬音語の豊富さもその特徴として挙げておられましたけれども。
一方の漢字は、明治以降、大量に氾濫した欧米の外来単語を翻訳する際に、多種多彩な漢字を採用してしまうはめになったと。
漢字なんてモノはまだまだ本国においてヒヨッコだと。
まではいってなかったかなあ。
つまり、「もったいない」は「やまとことば」なんじゃないかと。
太古の昔より培われたそれを、説明するのは、そら一筋縄ではいかんぞと。
ちなみに、「LOVE」を訳す際、「大切にする」と訳したひとがいるとか、昔々。こういう「やまとことば」の方が「愛する」なんて訳すよりよっぽどいいと思うんだよね。なんて先生おしゃってましたよ。
以上ろんぐこめんとでした。
投稿: シンジロウ | 2005.04.19 20:12
>しんじろうさま
投書ありがとうございます。ろんぐこめんと大歓迎です。
使用例重点の話はなるほどと思いますが、苦手です。
たぶんやりはじめると、その使用されたシチュエーションの設定から延々とやり始めてしまって収拾がつかなくなる予感。
ともあれ「辞書を引いて見ます」シリーズは飽きて来たので、これくらいにしておいて、今後は控えようかと思っています。
やまとことばが美しいというのは良く聞く話ですが、編集長は、割とその辺、ルーズに考えています。どの言葉がやまとことばなのか、全くわからないしね。
LOVEの訳語については、日本の最初の聖書訳で「ご大切」と訳されていたと聞いたことがありますよ。
投稿: あさみ編集長 | 2005.04.19 21:28
そういえば。
局長じゃなくて、編集長であらせられましたね。
失敬。
今日、相変わらず、慌てて日常生活を送っていましたらね、
少しトラブってしまいましてね。
書いてもらったんです。
祖母に。
筆で。
「急いては事を仕損ずる」
目のつくところに貼っつけとこうと思いましてよ。
投稿: しんじろう | 2005.04.19 22:06