「進化しすぎた脳」のススメ

真鍋弘さんのkomachi memo2にトラバです。ここで知ってどうしても読みたくなった本をご紹介。真鍋さんの言う編集の良さってのが、編集素人には分からないですが、直感どおり、とんでもなく面白かった。
(授業の最後の場面より)
僕が今回きみらに話した内容の中で、噛み砕いて説明するために結構思い切ってしゃべったことがいっぱいある。厳密な話をわかりやすくするために、細かい部分をはしょってしゃべったところもある。その意味では今回しゃべった内容はすべてが正しいというわけではない。そもそも、わかってないことが多すぎるしね。
(「おわりに」より)
講義は、池谷裕二という今後も成長を求め続ける人間による脳科学観の、現時点での足跡です。ここには現在の私の姿勢が投影されています。そして、私自身が高校生の頃にこんな一連の講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないかと思うくらいの内容と密度だったと、自分では自負しています。
──「進化しすぎた脳」(池谷裕二著、朝日出版社、2004年、ISBN:4255002738)
いやはや。こんな面白い科学の本に出会えるとは思いませんでした。
中高生を相手に大脳生理学者(薬学博士)である池谷さんが語ったことを、そのまま(のような形で)本にしたもので、ばりばりの文系人間である編集長にも、最後まで面白く読める内容でした。久しぶりに、かなり興奮しながら本を読み終えました。
分かりやすくて面白かった。「脳が体を支配しているのと同時に、体も脳を支配しているということ。」「脳が複雑に出来ているのは、あいまいさを生み出すためであること」など目からウロコなネタ満載。脳に電極を埋められラジコン化したネズミにはどこまで自己があるのかとかね。
惜しげもなく最新のネタを(先週のネイチャー誌からの引用とか、来月発表予定の論文とかから授業のネタを拾ったり)使って、最新の科学の知識とその限界を垣間見せてくれるレクチャーの手法は、すばらしいのひとこと。いやあ、授業受けたかったなあ。
学者さんとしての能力は、専門外なので全くわかりませんが、わかりにくい話を高校生に教えるにあたって、内容を噛み砕きはしても、高校生をナメた態度をとったりしない、なかなかフランクでかつ格調高い授業だったのではないかと思います。きっと高校生たちは楽しかっただろうな。
人を教える立場にある、あるいは科学を社会をつなぐ立場にある(編集長の古い友人にも、そういう立ち位置を自ら選んで健闘している人がいます)全ての人に読んでほしいです。
で、この池谷さん、編集長と同世代。実は、私が2歳上です。最初は、自分と引き比べて、なんだかうらやましいような、情けないような気分になりながらも、池谷さんには拍手。私も、そろそろこれまでの蓄積を活かした発信系の仕事がしてみたいなあ、などと池谷氏に触発されて、大胆にもそんなことを考える編集長なのでした。
というワケで編集長に授業をして欲しいかたはコメントにてお申し出下さい(笑
| 固定リンク
「11書評欄 (読書日記)」カテゴリの記事
- 家づくりのススメ(2008.04.16)
- 県庁の星(2005.11.29)
- 住宅の間取りの楽しみ方に関する一考察(2005.05.26)
- 夜のピクニック(2005.05.03)
- ネット王子とケータイ姫(2005.04.06)


コメント
以前「海馬」を読んで面白かったので、
本屋で見かけて即購入しました。
タイムリーに、私もこの本を通勤途中に読みかけているところです。
ホント、面白いですね。
養老さんもそうですが、脳からみると、世の中の見え方ってすっかり変わるような気がします。
投稿: akanem | 2005.03.03 23:14
はい。面白かったです。
この年度末のどたばたのクソ忙しい(まあ、お下品っ!)時に、睡眠時間を削って、ごはんの時も本を離さず(よって片手で食べられるものを食す)、トイレにも持ち込み、一気に(といっても忙しいので)2日間半で読んじゃいました。ホントおススメです。
で「海馬」が面白いと、あちこちで目にするのですが、とりあえず保留です。科学系理系本が続くと疲れるので、、。(軟弱な編集長であることだよ)
投稿: あさみ編集長 | 2005.03.04 00:38
hiraです。
立ち読みました(笑)。本屋でサボりつつ読む!
ポリタンコで、記憶のこと話していた(ウクレレ化計画と同じエントリ)時に紹介した「記憶力を強くする」(筆者同じ)は手元にあるから、そんでいいかなー?と。
「海馬」も「進化しすぎた脳」も基本的には口語筆記なんで、ギューッとつまっているっていう意味では、「記憶力を強くする」がオススメ。「場所ニューロン」って話は、目からウロコ。「場所性」は現象学的次元から、脳神経の次元に置き換わっていたんだなぁ・・と。
投稿: hira | 2005.03.04 16:59
hiraさんこんにちは。「記憶力を強くする」は同じ著者でしたか。そうやっていろいろな事がつながっていくと頭の中に地図が完成していくなあ。
アマゾンの薦めに従って、同時に同じ著者の「脳の仕組みと科学的勉強法」ってのを購入してしまいました(笑。が、あまりにもハウツー書っぽくて、なんだか読む気がしないでおります。早速「記憶力を強くする」を入手したいと思います。
が、しかし、今月の本代予算は既に底をついている。先週のまとめ買いが敗因。ジュンク堂に行くと、ついついコーヒー券をもらえるぐらいまで買ってしまうのよ。本屋って危険。
アマゾンの方が危険度は少ないな。本棚がないから。っていうか概覧性がないからね(概覧ってあさみ造語?ことえりが出しませんでした)
あ、本題を忘れていた。
わたくしめは「進化しすぎた脳」では、どちらかというと脳の仕組みよりも、授業のあり方に感動してるところが大きいです。口語筆記も含めてね。
ということできちんと「記憶力を強くする」で学ぼかな、などと思ったワケです。その「場所ニューロン」っての知りたい。
投稿: あさみ編集長 | 2005.03.04 21:58