新・郷土料理「いかなご釘煮」発祥の地
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今日の話の情報源の方々に対して敬意を表してトラバしてます。問題あればお知らせ下さい。
今日は、050311のエントリー「春の風物詩」で紹介した「いかなごの釘煮」についての続報をお知らせします。普段ノンキに塩屋で暮らしている編集長ですが、実は「いかなごの釘煮」発祥の地は塩屋(の「魚友」というお店)という説がある。エントリーに使った写真も、実は魚友さんの店先の写真でした。
■「いかなご釘煮」発祥に関する諸説
1935年、神戸市垂水区塩屋町の「魚友」松本信子に、ジェームス山の別荘地に住んでいたお客様より 「いかなご を佃煮にしてくれないか」 と依頼されました。
そこで醤油・砂糖(キザラ)・生姜を使用して、試行錯誤のうえ炊き上げました。
その後その住人が近所の方々に配るなどするうちに評判になり、「魚友」の店頭にも置くようになりました。
それまでは、「いかなご」といえば「釜揚げ」と、それを天日干した「かなぎちりめん」がほとんどでした。
1960年代頃になって、神戸市垂水漁協の組合長により「くぎ煮」 (出来上がりが「さびた古釘」のよう)と名付けられました。
それとともに、神戸市垂水区の各家庭でも炊くようになり盛んになってきました。いまでは、関西の春の風物詩のひとつに挙げられるようになりました。
──サイト「いかなご釘煮魚友」から「いかのごの釘煮(佃煮)の由来」部分を引用
「塩屋の魚友さんがいかなごの釘煮の発祥の地」という説ですね。編集長は、その食文化の広がり具合からいって、もう少し古い文化なのかと思っていました。しかし、どうやらそうではなく、この食文化の広がりはマスメディアの功績(?)によるもののようです。トラックバックをさせていただいた「風まかせ」さんは、「いかなごの釘煮」の流行をテレビで紹介されたことがきっかけとおっしゃっています。できれば詳細が知りたいところです。
「いかなごの釘煮」の発祥については、上記「魚友」さんによれば、1935年ぐらいまでしか遡れない。そのあたりの事情を詳しく知りたいと思っていたら、とても詳細にこれを論じている人達がいるサイトを発見しました。「いかなごの釘煮」の基本は、まずこのサイトで押さえて下さい。
「いかなご釘煮のルーツは?」
このサイトによれば、「いかなご釘煮文化」は播磨の国の文化などではなく、明石・垂水(もちろん塩屋を含む)限定の文化のようです。「釘煮」と呼ぶかどうかは別として、醤油煮の文化は地域の漁師の間ではずいぶん前から行われていたと思ってよい。
また、いかなごの調理は鮮度が勝負で、漁をして引き上げて店に出すまでの約2時間から3時間が鮮度の限界だというのは、編集長にとって新知識でした。私がエントリー「春の風物詩」で紹介した風景は、早く食べたいから並んでいるのではなく、水揚げされた「いかなご」を店に出るのと同時に買って持って帰って炊かないと間に合わないからなのです。
どこにでもこうして地域の食文化に通じた方がいらっしゃるもので、「いかなご釘煮」ごときで(ごときというのに語弊があるのは承知ですが、あえてホメ言葉として使ってみました)ここまで盛り上がれるというのは、まだまだ健康的な文化が生き残っている証拠だと直感しています。
■「いかなごの釘煮」は新伝統である
さらに、「いかなごの釘煮」について勉強しましょう。
中国新聞が1997年に下記のような記事を掲載しています。この記事は、釘煮は「新しい伝統」であるという視点でのレポートです。
新しい伝統/名物くぎ煮一石三鳥
早春、兵庫県のイワシ網はイカナゴの稚魚を追う。スズキの親類 で、かつては養殖のえさになる「大漁貧乏」の代表だった。それが 今、春の新子はなかなかの高値がつく。
(中略)
「大阪湾からの上げ潮の時が漁はいいけど」。総毛さんの話を聞 くうち、たちまち漁場についた。鹿ノ瀬である。冷たい水を好むイ カナゴは、この長大な浅瀬の砂の中で夏眠。十二月ごろ、目覚めて 産卵する。
(中略)
この新子をしょうゆ、ざらめ砂糖、ショウガなどと煮つめたの が、明石に春を呼ぶ名物「イカナゴのくぎ煮」である。新子がそり くぎに似た姿になるので、その名がついた。くぎ煮こそ新子の高値 の秘密だった。
(中略)
「港に揚がってから二時間以内でないと味が落ちる。作られる地 域が限られるから珍しく、人に送っても喜ばれる」。港そばの林崎 漁協の企画担当、鷲尾圭司さん(44)はくぎ煮を名物に育てた一人で もある。
イカナゴは戦後、フルセと呼ぶ親を釜あげにしたりして売った。 しかし食糧事情がよくなると売れなくなり、養殖ハマチのえさとなる。キロ三—五十円だから、量が勝負。大漁貧乏の典型だった。
「大衆魚は鮮度落ちが早いから、高級魚のように広域流通には向かない。産地でしかおいしく食べられない小魚を、人がどう食べる かなんです」と鷲尾さん。付加価値として考えられたのが、くぎ煮であった。
(中略)
新子は二月末から三月が漁期。売れるのは一日二五—五〇トンで、 それ以上捕ると値崩れする。林崎漁協は水揚げ量を見ていて、限界 がくると漁を止める。「価格が安定すれば乱獲せずにすむ。子を残 せば次の再生産につながる。タイなどのえさにもなり、一本釣りの高級魚の漁獲も増える」と鷲尾さん。
(後略)
──「中国新聞」の970110の記事より引用
■マメ知識
以下に、いかなご関係のマメ知識を披露します。いかなご文化が、どれほどのものかを皆さんも思い知ることができるかと思います。
□魚の種類
関東では「小女子(こうなご)」という魚、上記中国新聞の記事にもあるようにスズキの親類で、ちりめんじゃこ(イワシの稚魚)とは別なのだそうです。
(情報源「今日の症状」さん)
□新しい食べ方
パンにチーズと一緒に載せて焼く。意外とイケそうです。おそるべし「いかなごの釘煮」食文化。
(情報源:「大手小町(読売on-lineの一部)」というサイトでのあっぴさん)
□漢字で書くと
「いかなご」は漢字で書くと「玉筋魚」なんだそうですよ。たますじ?
(情報源:「BIGMASAの世界不思議発見」さん)
□実況中継
関西スーパーのある店舗では、渋滞で入荷が遅れる時は、店長さんが「「今、高速のどこそこデス!」「今、名神おりたとこデス!」「今パックしてますんで!」と逐一報告」してくれるのだそうな。
□入荷状況サイト(携帯からも)
関西スーパーの今日の入荷状況なんてのがあります。やっぱり、いかなごは文化です。
(以上2項の情報源:「On happy day! フクタケ通信」さん)
□いかなごの歌
本日の最初に出てきた魚友さんのサイトで紹介されている「いかなごG0!GO!」。編集長は聞いたことがありませんが、垂水のスーパーなどで春限定で流れているらしいです。
□いかなごの音
「残したい日本の音風景100選(環境庁大気保全局大気生活環境室)」に、垂水漁港のイカナゴ漁が選定されています。「漁船のエンジン音、威勢のよい掛け声、いかなごが跳ねる音、カモメの鳴き声」で構成されています。
(以上2項の情報源:「Bivouac Blog」さん)
もう、疲れて来たのでこのへんでやめときます。今日は長くなったなあ。
■今日のまとめ
現在、編集長はお仕事として、ある地方で、「人々に訪れてもらえるためには、名物となるような郷土料理が必要ではないか」という視点から、新しい郷土料理の創作をしようという提案を行っています。
しかし、食文化というのをナメてはいけません。おそらくそんな簡単なモノではないのでしょう。「いかなご」の一件を通じて、本当の郷土料理というのは、誰か一人によって創作されるものというよりは、地域経済や地域の人々を含めた地域全体で作られる料理なのだろうことに気づきました。
ただし、ここまで見てきたように「いかなごの釘煮」も、それほど古い文化ではありません。そいういう意味では「新しい伝統」=「新・郷土料理」の一つであると言えます。
だとすれば、明石・垂水の文化が、現在かなり広範囲に渡って広まっている現状が、どのようにして作り上げられたのか、これを検証していけば、少しは編集長のお仕事にもフィードバックされるかもしれないという淡い期待もあります。
■情報提供依頼
他に、「新・郷土料理」系の食べ物を探してみると、私の知っている範囲では、出石(兵庫県出石郡出石町:いずしちょう)そば(蕎麦)も、短期間に爆発的にヒットしたもののようです。このあたりも押さえておきたい。
このような「新・郷土料理」を知っている方はお教え下さい。個人的には、関西では、たこ焼きとか明石焼なんてのが気になります。北の方では仙台の牛タンってのもきっと「新・郷土料理」ではないかしら?
ところで、灘方面はどうですかね?>naddistさん。
スローまちづくりは、やはりスローフードとつながっているようです。
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コメント
私の実家の近くも漁業が盛んでした。
シンコではなくドロメンと呼ばれるイワシの稚魚漁です。
古老にもヒアリングを行ったのですが
「シンコみたいなモンは食べヘン。あんな雑魚」
いやドロメンも十分雑魚だと思うのですが。
で、そのドロメンは浜でゆがいて干します。
で、何になるかと言うと煮干しですな。
岩屋の煮干しはかなり高級ブランドだったようです。
で、その煮干しを使って料理を供したのが岩屋の花街。
んな、感じです。
んでんで、昨年それらの「灘ネイティブフード」を発掘
し、パッケージングしたのが「灘駅弁」です。
少し、新郷土料理とはずれるかもしれませんが。
http://homepage2.nifty.com/kobeport/sansaku/nada/nadaekiben.html
(食べた人の感想HPです)
投稿: naddist | 2005.03.14 07:26
灘駅弁。話には聞いていましたが、すばらしいではありませんか。
駅弁誕生までの記録
http://homepage2.nifty.com/kobeport/sansaku/nada/naddist.html
もステキでした。
食べたかったな。
投稿: あさみ編集長 | 2005.03.14 12:59
食べましたよ。灘の地元民として。
ところでやたトラバっている編集長さん、教えてください。トラックバックって何? 一体どんな機能で、使うとどんな利点があるの。それにどうやって使うの?
ブログ初心者の私には、まださっぱり使いこなせません。
投稿: 西 天平 | 2005.03.14 13:37
はじめまして、TBありがとうございます。
すごい情報量でびっくりしました。いよいよシーズンが到来しましたので、町のあちらこちらでいかなごの釘煮を作っている香りがします。垂水のパン屋さんの中にはいかなごパンを販売する所もありますよ。
またよろしくお願いします。
投稿: thetsurai | 2005.03.14 16:52
うちの工務店ではお客さま感謝祭と題して
毎年この時期にIHで釘煮を炊こう!っちゅうのをやります。
事務所が目と鼻の先にある関電明石営業所協賛いべんとです。
今年で、四回目ですが、事の発端は、
そんなもん明石でIHにしてもらお思たら釘煮炊けな話
にならんでっちゅう話でした。
最初はでけへんゆうてた関電さんも、ガスより簡単き
れいに早くできるコツを開発したのでした。ポイント
は鍋のサイズと一度に炊く量なのですね。
肝心要のいかなごは、親戚の卸しから当日朝漁れたや
つを20キロゆずってもらいます。
明石の場合いかなごに限っては競り落とすのではなく
各卸しに配分されるそうですよ。
時間がたったやつはアクがようけでてアクとりが大変
やそうです。
なことより今日、鰆(さわら)の切り身の塩焼き食べ
ましたがものすご美味しかったです。
投稿: | 2005.03.15 00:36
あっ上記のコメントわたしです。
失礼
投稿: しんじろう | 2005.03.15 00:37
いやいや、わざわざ名乗らんでもわかりまんがな>しんじろうさま
なるほど、さすがに明石。
>そんなもん明石でIHにしてもらお思たら釘煮炊けな話
>にならんでっちゅう話でした。
に(笑)。おそるべし釘煮文化です。
「IHで釘煮技術の開発秘話」>いけるんちゃいますか?「プロジェクトX」
少なくともIH釘煮クッキングの小冊子を作って営業したら、明石と垂水に限っていえば、大阪ガスと関西電力の勢力地図は大きく塗り替えられるのではないでしょうか?
P.S.そんなウマいもの、一人で食べてないで、持ってきなさい。(笑
投稿: あさみ編集長 | 2005.03.15 11:16
初めまして。TBありがとうございます。
今、兵庫区に住んでますが、ここ10年~20年くらいで釘煮を炊き始めたと知人が言ってます。私の大好物の釜揚げは足が速いので、この時期に遊びに来た他地方の友人には、飲みに行っては食べさせ着実にファンが増加。東京でも食べたい~とモンモンとさせてます。
釘煮は、この時期ご飯の友として、会社でも食べている人増加してます。
投稿: shanry | 2005.03.15 15:16
thetsurai さん。shanry さん。ご訪問ありがとうございますう。
釜あげ、実は食べたことないです。どこで食べられるかしら?知っている人はお教え下さいませ。それから釘煮情報も引き続き募集中ですのでどうぞよろしく。
いかなごネタは、なかなかヒットしたようです。
この調子、この調子。そうやって、皆さん、積極的にコメントを残して行って下さいませね。
ではでは〜♪
投稿: あさみ編集長 | 2005.03.16 01:52