南セントレア市
【最初に追記】
本記事にいただいたトラックバックについて、こちらからもトラックバックさせていただいております。このトラバに関する基本的な考え方を本エントリーのコメントに書いておきました。トラバ経由で来られた方には、コメント欄までお読みいただければありがたいと思います。
合併新市名は「南セントレア」
愛知・美浜町と南知多町
来年三月の合併を目指す愛知県美浜町と南知多町でつくる法定合併協議会は二十七日、合併後の新しい市の名称を「南セントレア市」と決めた。
(中略)
意見集約したところ「二月十七日にセントレアから飛行機が飛び立ち、新しい市の出発にイメージが良い」「ネームバリューがあり、新しい市も全国や世界にPRできる」などとして決定した。
(中略)
両町では、二月二十七日に合併の是非を問う住民投票がそれぞれ実施される。その結果を踏まえ、三月の両町議会で合併するかどうかの議決が諮られる予定。
(中略)
新市名は、両町の地名などにゆかりがなく、全国から公募した新市名案三百三十件の中に一件も含まれていなかっただけに、住民の間では驚きが広がっている。
南知多町内海の旅館経営者の男性は「両町とかけ離れた名前で奇抜すぎる」と戸惑いを隠せず、観光効果も「何とも言えない」。協議会を傍聴した同所の男性(62)は「海や山に囲まれた両町のイメージが想像できない」と不満顔。
一方、美浜町野間の主婦(70)は「知多半島はいまセントレアで世界から注目されており、市の名称に使われるのはいい」と歓迎した。
法定協議会長を務める斎藤宏一美浜町長は「これから空港を中心に知多半島が発展していく上で、新しい市がセントレアの名を頂き、その発展の受け皿を担って進んでいける」。副会長の森下利久南知多町長も「将来の展望が開けるよい名称」と胸を張った。
中部国際空港会社の広報グループは「市の名称に挙がるほど認知されたことは喜ばしい」と歓迎した。
──「中日新聞」050128の記事より引用
来年三月の合併を目指す愛知県美浜町と南知多町の合併協議会(会長=斎藤宏一・美浜町長)が、新市の名称を「南セントレア市」にすることを決めたことに対し、二十八日、事務局には町内外から反対意見が相次いで寄せられた。
(一部略)意見の大半は批判的で「これまでのイメージとかけ離れた名前。理解できない」、「片仮名は日本の地名として不適切」など。協議会は昨年十二月、新市の名称を公募したが、「セントレア」とつく案は皆無で、(後略)
反対意見は、次回の協議会に提出されるが、事務局は「新市名は法定協議会で議決された事項で、簡単には覆せない」としている。
──「YOMIURI ON-LINE」(読売新聞中部支社)050129の記事より引用
うーん。何とも困ったことです。合併の弊害ってのはこんな所にも現れる。編集長は、こうやって地名が消えて行くことを見すごせません。地名が消えるのは、土地の文化が消えるということです。そこには多くの問題がある。
ところで、このセントレアという名称の由来はというと、、。実は編集長も神戸空港に気を取られていて知らなかったのですが、中部国際空港の建設というプロジェクトがあって、知多半島の沖に空港を建設中。もうすぐ開港の予定です。これが、「日本の中心(Central Japan=中部)にある空港(Airport)という意味」で、「Central+Air=セントレア」なんだそうです(中部国際空港のサイトより)。このネーミングも、非難の対象になっているようではありますが、今回の論点はそこにはありません。
脱線を承知でいうなら「コウノトリ但馬空港」だって、最初はギョ?!って思いましたが、飛行機のダイヤなんかでもひときわ目立っていて、最近は、なんだか愛らしいなと思わないでもありません(編集長がことのほか但馬を愛しているという理由もあるにはありますが)。というワケで新しくできるモノに付く名前は、まあこんなんでもいいんでない?というのが編集長の意見。
確かにお粗末なネーミング手法という気はしますが、「セントレア」。語感はそんなに悪くないですよ。
しかし、しかしです。美浜町と南知多町で「南セントレア」は、正直「どうなのよ?」と思わずにはいられません。だいいち、「南」を付けなくてはならなかった事情もあるのでしょうが(セントレア空港は、美浜町でも南知多町でもないしねえ、、、)、この「南」が潔くないですよね。
とそれはさておき。
どうも、この南セントレア問題、あちこちで物議をかもしているようではありますが、ネーミングのセンスの悪さに、問題の本質を見失っている感があります。
どうも、「カタカナ名前が悪い」とか「外国みたい」とか、「空港の名前を付けるなんてどうなのよ」「センスが悪い」「マヌケ」「恥ずかしい」「民主的でない」などという様々な声にまぎれて、論点が拡散してしまっていますが、実は、本当に考えるべきなのは、これまで地域の皆さんが愛着を持って呼び続けてきた地名が消えてしまうという部分なはずです。地名には土地の記憶が住んでいます。それをあまりないがしろにしない方がいい。
こういう、「愛着」というような「プライスレス」な価値に支配されている「地名なるもの」をいじるのですから、町長さんたちも少しは慎重になった方がいい。新自治体名が決定できずに暗礁に乗り上げる合併協議会も多いようです。それは「地名なるもの」が、その土地の住民の記憶とか思い出とか誇りなどと密接に関わっているからです。「新しい名前にして、そこに新たに記憶や思い出や誇りを蓄積させていくのだ」という考え方もあるとは思います。しかし、それは地域に蓄積されたものを一度ゼロにするというリスクも背負っていることを忘れてはなりません。どうしても住民の皆さんが新しい名前にしたいのであれば、それでも構わないと思いますが、くれぐれも拙速は避けた方がいいと思いますよ。と、老婆心ながらご忠告申し上げます。
これから住民投票だそうです。ネーミングではなく、合併の是非を問う投票です。もしかしたら、「ネーミングの悪さを理由に合併がお流れになることを期待したトップの英断」なのかも知れないなどと、深読みしてしまいますが、そんなことはないんだろうな。きっと。
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コメント
淡路の一宮町も気になります。「一宮」の名を残すため字名を変更しようとした町長に対し、50年の歴史しかない「一宮」という名より江戸時代以前から続く字名の存続を住民は望んだと新聞報道を読みましたが、どうなのでしょう?残すべき地名とは。
(カウンター12345番、踏みました。)
投稿: ちはる | 2005.02.04 09:01
ちはるさま
ご投書いただきましてありがとうございます。
12345ゲット。おめでとうございます。何か景品をお送りできるといいんですが、スポンサーもない弱小新聞社ですので「未完の大器晩成」編集長の出世払い(笑 ということでお許し下さい。なんじゃそれ(笑
淡路も合併問題では大変でしたよね。南あわじ市とか、どうなんだろうと思いますよ。ひらがな使いたい気持ちはわかるけど、、、。名前は残るからね。お金よりも大事かもしれないなんて思うんですけどね。お金なんて使ったら終わりだしね。
一宮町は住民投票をされたようですね。804票/2314票で大字を変更しない方が多数派のようです。聞けば、どうやら全ての大字名の上に一宮を付けるといういささか安直な手法のようで、、。
「大きな名前(町名)は仕方がないけど、小さい名前(字名)は私たちのものなんだからいじらないでくれ」ということではないかと拝察いたしました。やはり名前は大事ですよね。
こういう住民投票もかなり流行していますが、どちらにしても、安易に多数決で決めるのではなく(一宮町がどうだったのかは知りません。あしからず)、大事なことなのできちんと議論を尽くしてほしいと思います。
そして、それをきっかけに、もっともっと地域の皆さんが自分たちの住む地域のことを考えるきっかけになれば、別に名前なんかどうなってもいいんじゃないかな(なんか論理矛盾起こしてますかね)なんて思いますですよ。
ぜひまた、コメント寄せて下さい。
ちはるさんのところも巡回先に加えました。リンクも追加しておきますのでよろしくお願いいたします。
投稿: あさみ編集長 | 2005.02.04 09:55
トラックバックありがとうございます。
お名前がありませんが「故郷は美浜」さんですよね。
わざわざ幣新聞の記事引用までしていただいてありがとうございます。こうして議論の輪が広がるのはありがたいことです。
「故郷は美浜」さんのページは存じ上げていたのですが、トラックバック企画には意識的に参加しておりません。理由はいくつかありますが「どうも議論が拡散していること」「トラックバックの手法について問題が生じていた(今はそうでもないようですが)こと」「語感を問題にされていること」などによります。特に最後の問題に関しては、主旨に全面的には賛同できていないことから、ヘタなトラバはかえってご迷惑になるだろうと判断したものです。大変申し訳ありませんが、ご了解いただきたく思います。
しかし、当方へのトラバ・コメント・記事の引用は大歓迎ですので、今後ともどうか「あさみ新聞」をごひいきにどうぞ(笑
活動、陰ながら応援させていただいております。願わくば、この議論が単に「名前の問題」だけではなく「地域のあり方」の議論に発展することをお祈り申し上げます。
トップページへのトラバは止めておきますが、「故郷は美浜」さんのブログにコメント欄がないので、このコメントを読んでいただくためにも、引用いただいたエントリーにトラバさせていただきます。
投稿: あさみ編集長 | 2005.02.04 10:19
あさみ編集長さん、
トラックバックありがとうございました。こういうトラックバックで、上記のようなご意見をいただけるのは大変ありがたいことです。
私のブログのエントリー「人々の声」であさみ新聞さんの記事を引用させて頂いたのは、まさしく議論が拡散していることに危惧を感じているからです。(ちょっと下線を引く部分が間違っていましたね・・・修正しておきました)
日記ブログならいいのですが、テーマのあるブログですので、なんとか議論の的を絞れないものかと、コメント欄を閉じて掲示板に集約したりしています。いろいろな意見があるのは当然で、この時代、こういう問題について議論を集約することはなかなか困難だと思いますが、何とか数十点から数点に絞れないものかと努力しています。
この新市名称の撤回に賛同して頂くという意志の証明は、トラックバック企画のエントリーにトラックバックしていただいた人のみで、そのほかのエントリーは通常のトラックバックをやりとりしております。まあ絶対反対の意思を表明しているブログなので、どのエントリーにトラックバックしていただいても、反対の意思があるものと誤解されかねない可能性はあるのですが(そういうエントリー元には出来るだけコメントを残すようにしています)、何とか説明をしたいと思います。
語感の問題ですが、自分はその地域の文化や地名に対する愛着をないがしろにしたくないですから、特に対等合併に近い場合(?)で全く新しい名称をひねり出さないといけない場合は、語感というものも大事だと思います(住民に限らず出身者にとっても)。実際、このケースでは「美浜」という地名も50年近く前に、古くからある地名である「河和村」と「野間村」が合併したときに全く新しく付けたもので、私自身も「河和」に愛着があり(小中学校、駅、鉄道路線、全て河和です)、「美浜」は役場の名前、位の認識しかないのです。地元の方でも「町」ではなく「街」単位の愛着があるのが大勢でしょうが、今回はその「美浜」すら消し去ろうとしているわけです。
実際、地元の方々から直接、今回の「南セントレア市」選定に至るの現実的な背景についてお聞きしていますが(まああさみ編集長さんが予想されてることと大差ありません)、報道された時点でもう思い切り「南セントレア」が一人歩きしてしまっているので、何とか本質的な議論に引き戻したい、という意味で、出身者としてこのブログを続けております。
住民投票については、ご案内の通り、「もともと合併賛成だけどへんてこな新地名がイヤだから反対」というひとがかなり出てきてしまっている、と地元の人たちから直接聞いております。住民投票に至る前に、なんとかこの新市名を撤回してもらい、より本質的に争点での住民投票をして頂きたい、というのが、このブログやトラックバック企画をした(現在の)最大の目的です。
撤回される可能性は現状では勿論高くありませんが(時間が足りないことが最大の理由です)、撤回無しに住民投票になだれ込んでしまった場合は、とにかく住民投票に言ってほしい、と呼びかけることにしています。
・・・と、議論はなるべく集約したいので(笑)、ご意見や何かいいアイディアがあれば、掲示板の方にもよろしくお願いいたします。トラックバックというものにも新たな認識や活用法が広がっている現状がありますが、最初にとった手法の件では、その本来の意図に照らして、エントリーにも謝罪を書きましたように訪問販売のようで適切ではなかったなと反省しておりますです。今はメールやコメント欄でお願いをしております。
今後ともぜひご意見頂けますよう、よろしくお願いいたします。
投稿: 故郷は美浜 | 2005.02.04 13:29
ご投書(本紙ではコメントを投書と呼びならわしております。自分でも時々間違えてますが、、、)いただきありがとうございます。
故郷は美浜さんを少し誤解していたようです。大変冷静でかつ見識のある方とお見受けいたしました。
「語感」の問題は故郷は美浜さんと考えるところは同じです。しかし、どこかのエントリーで故郷は美浜さんが表明しておられたように「民意の欠落」と「語感」にこだわるという部分に、若干同調できないものを感じた編集長の誤解がございました。つまり私がエントリーと投書で述べているように「地域の記憶・思い出・誇り」といったものを地域の住民さんたちがどう扱うのかという点のみが重要であるという私の主張と、少し違うような気がしたからです。
投書をいただき、思いの根は大して変わらないことに気づきました。よくよく考えれば、この問題に反対する人の多くは、表現の違いこそあれ、似たようなものなのかも知れないなどとまた極端なことを考えたりしています。
非難がましい意見と取られたのかも知れませんが、基本的には応援しています。なので、こんな辺境なブログのことは放っておいて(迷惑だとかいう意味ではなく、純粋に時間がもったいないので、、)目的に向かって邁進下さい。また時々そちらにお邪魔します。そこでの議論が重要かと思いますので、、。
取り急ぎ、ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2005.02.04 13:57
あさみ編集長さん、
いえいえ、あんなTBを打ってしまうなんて冷静さにかけていたと言わざるを得ないんですが(汗)
まあ若干同調していただけない部分というのは、私が現住民ではないことが、住民とは別の種類のかけがえのないノスタルジーになってる部分から発生してるんじゃないかと思っています。根っこは勿論一緒ですよ。
非難がましいなんて勿論思ってませんし、むしろ町造りのご専門としていろいろご意見伺いたいと思ってます。
とにかく、「南セントレア市」だけ撤回すれば、とりあえずの懸念が無くなり、住民に本質的な問題に向き合ってもらえると思います。私もこれからの人生で、今まで通り故郷を想うことが出来ます。
またご専門の視点でのご意見をトラックバックなりで聞かせて下さいね
ところで、コメントが投書でしたらトラックバックはなんでしょうか・・・矢文でしょうか、内容証明でしょうか(笑)
投稿: 故郷は美浜 | 2005.02.04 23:37
トラックバック:
しまった。それは考えてなかった。(というか考えたんだけど、思いつかなかったのですよ)基本的に新聞ってのはインタラクティブじゃないんですね。きっと。ブログのネーミング間違えたかな?
どたばたしているもので、いいかげんな文章でごめんなさい。
とにかく頑張って下さいね。ときどき拝見しに行きます。ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2005.02.05 00:07
あさみ編集長さん
リンクに加えていただきありがとうございます。
(ひとこと欄に名前が載ったのがウレシハズカシ)
私のblogでは自分以外のリンクリストは設けていませんが、関連記事など書いたときにはリンク・トラックバックさせていただきますのでよろしくお願いします。
トラックバック....何て言えばいいんでしょうね。「持込み記事」?「寄稿文」?
投稿: ちはる | 2005.02.07 09:33
ひとこと欄にも読者がいたということが、ウレシハズカシな編集長でございます。なるほど「持ち込み記事」ってのはあり得ますね。寄稿文よりそっちがスキだな。うー。どうしよう、変えちゃおうかな。もう少し悩むことにします。ではでは。
投稿: あさみ編集長 | 2005.02.07 15:48