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2004.11.20

建築設計製図

さて、設計製図をやっていて、また、最近の学科での戦略会議に出ていて、考えさせられることがある。全員が建築系研究室に進まない(進めない)という実態の中での「必修設計製図」はなんぞや?、と。
で、その答えは・・・
「建築の製図を行なうこと」が、環境を考えるときの何らかの方法論として有効なのではないか?ということだ。プレゼンテーションや、模型を使って考えること、つくるために調査する姿勢、手で考えること、絵にして考えを伝えること、などなど。
彼らに「建築設計製図」が直接役に立つから教えているのではなくて、「建築を考えるプロセス」がこれからモノをつくり出す上で有効だからだ、と考えて演習を組み始めている。
──『ポリタン・コスモ』(hiraさんのブログ,2004年11月19日)の記事より引用


 hiraさんの「復帰か?設計製図演習いってみよか。」にトラバ。トラバの作法が良くわかってないので、あさみ新聞スタイルで始めます。とにかく、なんだか大変そうだけど、hiraさん体にだけは気をつけて下さい。
 あさみ新聞では、編集長の守備範囲でないことから、建築教育については割と意識的にその話題を避けてきました。教育の現場をナマで知らないから仕方がないのです。今回はhiraさんが話を振ってくれた(振ってないって!)ので、ちょっとだけ思うところを。

 hiraさんのおっしゃる通りだと思います。「建築を考えるプロセス」の訓練が役に立つのだと思う。だとすれば「建築設計製図」という呼称が問題なのではないでしょうか?

ちょっと脱線します。

 実は、私の廻りの、建築教育を受けた人たちが、かなり無批判に『製図』という言葉を使うのが、前から気になっていました。これは語義の問題で、編集長のこだわりでしかないのかも知れませんが、念のため、まず辞書を参照。

せいず 【製図】
((名・ス他))定規・コンパスなどを使って図面をかくこと。
──岩波国語辞典第5版より


というように、『製図』ってのは、図面をかくことにすぎないワケです。だとすれば、私が日頃建築設計の現場で行っていることは、単に『製図』ではない。
 もちろん自分が考え出した建築の姿を他の誰かに伝えるための手段として、図面は重要です。そして、それが建築の世界での共通言語であるなら、図面の一般的なルールを身につけることは、建築を職業にするものにとって重要です。でも、重要だけどそれだけです。
 製図技法を身につけるのは、いわば言語を習得することに似ていて、実は一番大切なのは、その言語を使って何を表現するかということだと思うのです。しかも、建築設計の場合、他の誰かに自分の考えた建物の姿を伝える方法は、図面をかくことだけではありません。モノの形や納まりを考えることは、少なくとも私にとっては製図ではない。
 とすれば、つくるために調査することや、模型や手を使って考えること、考えたことを説明する力(プレゼンテーションの能力)などは、製図の範疇ではないんじゃないか?

 で、元に戻って考えますが『建築設計製図』改め、『建築総合演習』とかせめて『建築設計演習』などに授業の名前を変更するところから始めるのはどうでしょう?たかが名称というなかれ。されど名称だと思います。言霊という言葉もありますし、それにふさわしい名前を与えるというのは、どんな世界でも重要です。
 実は、ここにたどりつくまでに、案としてはいろいろと考えました。(『建築デザイン演習』、『建築表現実習』、『建築コミュニケーション演習』『建築アプローチ実習』などなど、、、、)でも、なかなか「つくるために調査し、手や模型を使って考え、仮説を実証し、ありとあらゆる方法を使って自分の考えを他の人に説明する」という一連の作業に名前を与えるのは難しいなあと気づきました。もしかしたら、それが『建築』なのかも知れません。
 ともあれ、その授業の内容を『製図』に限定する必要は全くないというのが今回の私の主張です。

 さて、ここまで、『製図』をかなり軽んじた発言をしてきましたが、一方で、かつての巨匠の手描き図面が、芸術作品のようであったということ(今でもそういう人はいます。)も、ここで考えておく必要があるかもしれません。
 もし、私が言うように、図面が単なる情報の伝達手段だとしたら、線がきれいで、レイアウトも美しく、そして図面の端に描かれた走り書きのスケッチにまでも味がある、という図面への私のあこがれを説明することができません。(実は、村野藤吾全集なんてのを大枚はたいて買ってしまった編集長なのでした。)
 このことをどう評価するか。それともしないか。というのは建築設計に関する態度の違い(と言って今日は逃げちゃうけど)と言っていいかと思います。ではでは。

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