スロー中心市街地活性化のすすめ
中心市街地再生へアドバイザリー会議初会合 国交省
国土交通省は11月5日、中心市街地再生のための施策について指導・助言を求めるアドバイザリー会議(座長、金本良嗣東京大学大学院教授)を設置し、中心市街地の衰退の実状と課題、今後の施策展開の方向性などについて議論した。12月以降、月1回程度の会合を開き、17年5月中の報告書取りまとめを目指す。
まちづくり3法(略)が制定されて6年。この中には、中心市街地活性化に向けた支援措置などが盛り込まれているが、即効性のある施策が不足し、衰退のスピードに追い付かないのが現状だ。
国交省では、既存公共施設を活用し、公共投資を効率化する意味でも、中心市街地の再生は最も重要な施策の一つだとしている。
こうした状況を踏まえ、法律・経済・都市計画などの学識者や、佐藤栄佐久福島県知事ら自治体の首長で構成するアドバイザリー会議を設置。中心市街地の現状や課題、大型集客施設立地のまちづくりなどに関して討論し、制度体系を含めた今後の方策を中心市街地再生策と都市計画の両手法から検討することにした。
(中略)
今後、17年5月までに▽中心市街地衰退の経緯と現状▽中心市街地活性化の取り組みの実状と課題▽大規模店舗の郊外進出の実状と課題▽地方公共団体のよる中心市街地活性化策と都市計画の運用の実状と課題▽今後の施策の展開の方向性−−などについて議論し、成果を報告書にまとめる。
──東京建通新聞11月10日付6面掲載
■まちづくり3法とは
さて、今日はあまり得意分野ではありませんので、最初に少し勉強しておきましょう。ここで、まちづくり3法というのは、
①大規模小売店舗立地法
②中心市街地活性化法(略称です。正式名称は長いので省く)
③改正都市計画法
の3つだそうです。
まちづくり3法の考え方の根本は大規模小売店舗立地法(大店立地法)の成り立ちに現れています。そもそも大店立地法というのは大規模小売店舗法(大店法、1973年)の廃止に伴って制定された法律です。この法律の成立を知るためには、大店法の成り立ちを見て行かなくてはなりません。しかも、大店法の前身となるのは百貨店法という法律で、ここからまじめに語ろうとすると思い切り議論が長くなります。そこで、ここでは、そのあたりはすっとばして、極力まちづくり的側面を強調して、、、、。
とは言っても何もかもすっ飛ばすわけにもいかないので、ざっと概説します。
■大店法の背景と功罪
1973年に、中心市街地に大規模店舗が進出すると地元の中小小売店が衰退するという理由から、中小店を保護する目的で大店法ができました。しかし、この法律は大型店同士の競争をも抑制する方向に働いたため、結局大店保護法としても機能することになりました。大規模店舗の新設が難しい中で小規模なコンビニが興隆したという功績はあったものの、大店法で小売店(大小を問わない)を保護政策下においたため、後に外圧など(大店法は非関税障壁としても機能していた)によって大店法が廃止された際、保護を失った全ての店が衰退し始めてしまいました。
「大店が進出してきたら、中小小売店が危ない」という考え方は間違っていなかったのですが、「じゃあ大店の出店を規制しよう」という発想がそもそも問題だったのですね。そんな規制はまちの活力の衰退にしか結びつかなかったのです。法では、規制している間に中小小売店の体力をつけてもらって、後に規制緩和しようとしていたようでもありますが、保護下にある中小店舗がそんな努力をする筈もなく、そのままバブルの崩壊を迎え、このままでは大小共に危ないということになって規制の緩和となるのですが、これがまたさらに中小店の衰退を招いていくのです。
ざっとこんな社会背景があるわけです。ここでは、そもそもどうすれば良かったのかという話は、後に廻しましょう。
■まちづくり3法のもたらしたもの
さて、話をまちづくり3法に戻します。上記のように大店法なんかですったもんだしている間に中心市街地は衰退していきます。そこに大店立地法。大店法が中小小売業者の保護をあからさまに目的としていることにアメリカあたりから文句がついたので、大店立地法(2000年施行)はそのストーリーを少しだけ(「少しだけ」じゃないという論点もありますが、編集長には「少し」だとしか思えません)変えます。どうしたかというと、大規模店舗の周辺の生活環境の保護をうたい文句としたワケです。これには、騒音問題や駐車場・駐輪場の整備などが含まれているという次第。大型店にとってはこれもなかなか高いハードルです。結局、中小店保護であるという側面は変わっていないのですね。
そして改正都市計画法では、特別用途地区の考え方を変更し、地方自治体によるゾーニング手法による大型店の出店規制ができるようにしました。また、中心市街地活性化法では、市街地活性化計画をもとにTMOなどが事業計画の策定・実施を行うこととし、多くの省庁でこうした事業を優遇できるようにしたのです。
ここまでが、まちづくり3法の概略です。地域を主体としたまちづくりを標榜しながらも、まちづくり3法の基本的考え方は、要するにまちなかの大規模店を規制し、中心市街地の中小小売事業者を守ろうという発想から抜け出てはいないのですね。
で、結果がどうなったかというと、これらの法の及ばない地域、つまり市街化調整区域や都市計画区域外への大規模店の進出を助長してしまうのです。いわゆる沿道型のスーパーや、電気店・DIY店などが跋扈して、購買客がそちらに流れるという構図をさらに促進することにしかなりませんでした。ありゃりゃ。どうもだめだねえ。
これじゃどうにもならないというので、こんなこと(「構造改革特区(中心市街地活性化のための大店立地法の特例)について」経済産業省(2003年3月)※pdfファイル)になっている。要するに既存商店街に大規模店が進出しやすくしないと中心市街地は衰退し続けるという認識にようやくたどりついたというワケです。しかし、どうも遅きに失した感じが否めません。
■明日の中心市街地のために
そろそろ「国の政策をアカンアカンゆうばっかりやったら誰にでもできんのんちゃうん?」と言われそうです。うーん、確かに、、、。当紙の編集方針としては、勉強して終わりじゃなくて、何かのビジョンを提示したいところです。オチでもいいんだけど。
で、考えました。やっぱり原理原則から言えば、中小事業者を守るために大規模店を規制するというのは間違いです。大規模店が景観を壊すとか地元の生活環境を阻害するというのは大店立地法で規制するとして、まだ体力のある商店街では、この特区で考えられているようになるべく規制を取り払って、なんとかして大中小による共存共栄の道を探るべきだと思います。今から間に合うのか分かりませんが、大規模店を積極的に迎え入れて、ヨーカドー城下町みたいなものにしていくのが得策ではないでしょうか?大規模店にも地元商店会への加入を義務づけるなどすれば、商店会だって潤います。そういう仕組みにしていく必要がある。大事なのは「まちの元気」です。商工会青年部が元気であればまだなんとかなる。商店街の工夫により大規模店と共存していけるのではないかと考えます。
さて、ここまで来て言うのもナンですが、実は編集長の興味は別のところにあります。
■スロー市街地活性化のすすめ
それは、大規模店が乗込みたくなるような右肩上がり的な発想を、そろそろ止めたらどうかということです。店を作ってバンバン客が来て、バカバカ儲かるような変革を期待していても、それは実現しないのではないか。
それよりも、地に足をつけて、地域のコミュニティを大切にし、老人や子供たちが暮らしやすいまちを作ることに力を注いではどうでしょうか?若者がいれば、まちはなんとかなります。子供たちが一度都会へ出たいというのは仕方がないとして、必ず戻って来たくなるようなまちづくりを行ってはどうでしょうか?それは必ずしもバンバン客バカバカ儲け路線だけではないと思うのです。名付けて「スロー市街地活性化」。長期低成長社会のまちづくりのあり方は、やはりここにあるのではないでしょうか。
地元の商店も、少しコミュニティビジネス的発想でもって、食品や料理の宅配と介護保険とを組み合わせるとか、空き店舗はコミュニティ喫茶として展開するとか、地域コミュニティに貢献できる道を探し出してこれをウリにするような考え方ができないかと思います。地域がいきいきとしている場所には必ず若者が戻って来ます。
そういえば、ITの利用も、こうしたまちづくりに利用できそうです。(それには情報インフラの整備が不可欠ではありますが。)いっそ全てをサイバー商店街にして、クリック一発で宅配してくれるような「ミニ楽天」みたいなものにするという手もありますね。残念ながら他に思いつかないのですが、そもそも地元商店街の良さは、対面販売によるコミュニケーションと、そこから生まれる信頼関係によって成り立っているようなところがありますよね。インターネットのインタラクティブ性は、それにとって変わることができるのではないか。というあたりが今後の議論のポイントになるかも知れません。
とにかく、中心市街地の活性化のためには、道路拡幅とか橋を架けるとかじゃなくて、人づくりとソフトウェア構築、情報インフラ整備にお金を使いましょう。キーワードは「スローまちづくり」です。幸い中心市街地活性化法がありますので、この法に基づいた事業化を行い、まちのハードではなく、人づくりとソフトづくり、ネットワークづくりに公的資金を使って行くというのはどうでしょう?
若干まとまりませんが、これからhiraさんらとオフ会なので、今日はここまで。
不慣れなテーマなので、かなりズタボロな論理展開をしていることと思います。厳しいご批判をいただきたく思います。どうかよろしくお願いいたします。
■追伸
そうだ、引用文解説を忘れてました。エライ人がこれまでの問題点を半年かけて検証するのもいいんだけど、今、まちで行われている様々な実験的・実践的試みをとことん支援するようなお金の使い方をすべきです。じゃないと、結局あたりさわりのない提案しか盛り込まれていない報告書を作るコンサルに高い金を払って終わり、なんてことになってしまう。大事なのは実践に基づく経験の蓄積です。それを増やすことに力を注ぐべきです。「役人の自己満足+コンサルの儲け+参加委員のフラストレーション」というよくある構図だけは避けていただきたいものです。お願いします、国交省さま。
□参考資料
大規模小売店舗法がもたらしたもの—大手量販店の経営側面から—佐藤俊彦【三和総研】(2001年3月)
★★★★☆
大店法が結局は大店保護法として機能したこと。そのために保護がなくなった際に体力を維持できなかったこと。保護政策は常にグローバル化における敗北をつくること。大店法はコンビニを促進させたこと。など、なかなか面白く読みました。資料の使い方といい、話の運び方といい、この手のレポートのお手本としても使えます。
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