僕たちは何を設計するのか(1)―隈研吾(1)
少し前に、なんとなく現代建築の潮流が見えるのではないかと思って買った「僕たちは何を設計するのか」(ディテール2月号別冊、彰国社、2004年)が出てきたので、少しずつレビューしてみようと思い立ちました。タイトルからしておそらく若い人、あるいは学生向けの本なのでしょう、私もなんだか少し若々しい気分になって読んで見ようと思ったわけです。
第1回は、本書2人目のインタビュイー「隈研吾氏」の登場です。
隈さんの最近の作品を詳しく知りませんが、私にとって隈さんは「M2」の人です。自動車販売会社の建物が、アイオニックオーダーの柱になっているという、極めてキッチュで、かつ絵画的な建物でした。そういえば【ポストモダニズム建築】として華やかに雑誌上を飾っていたような気もします。発表時おそらく学生だった私には、(周囲の同級生たちは、思い切りバカにしてましたが)非常に素敵な【作品】に見えました。それは、そのキッチュさが、他の所謂【ポストモダニズム建築】の追随を許さないまでに極められていたことにあります。所謂「ポストモダン」もここまでできればそれはそれで一つの世界観であるなあ。と思った記憶があります(当時はもう少しあこがれに近い感情が入っていたような気もします。恥ずかしいけれど)。ある意味、私の好きな建築家の一人といえるでしょう。
その後、新建築に発表された海外のコンペで、えらく【環境に優しい】提案をしていたのを見たきり忘れていましたが、お元気に活躍されているようで安心しました。
さて前置きが長くなりました。本題です。
隈さんは「素材原理主義とは違う、ある種の新しい正直さみたいなものがディテールの中にあるべきだと思う」という。分かったような分からないような言い回しではあります。原理主義云々はおくとしても、ディテールの中に宿るようなある種の正直さを「新しい」と感じる感性にこそ問題があるということはないか?と考えてしまいました。
ディテールってなんなんですかね。ある種の正直さってなんなんですかね。
少なくとも、素材や技術と建築とを結ぶ作法あるいは言語としてディテールを捉えるならば、そこに新しい正直さなんか(新しい正直さってのがなんなんだかわかんないけど)あるはずがないんじゃないか。あるとすれば、それは、素材や技術の新しさなのではないかと思うのです。わかったようなわからないようなことを言ってみても、結局、隈さんが何か新しいことを言っているわけではなさそうです。(いや、隈さんにとっては新しいのかもしれない。それとも、感動できるテクニックの問題なのか<これはあさみメモ、今のところ読んでいる人には意味不明だと思う。)
隈さんの話は、一事が万事この調子です。
例えばインタビューの冒頭で、インタビューアである安田光男氏に、「僕たちは、内部で完結した空間=世界をつくることを目的とする建築がある一方で、周辺や外部環境と積極的な関係を持つことで成り立つような建築がありえる」と聞かれ、「建築とは孤立した形態ではなく、外部との関係性である、というのが僕の基本スタンス」だと答えます。どうしてそれがM2になるのか全く分かりませんが、それはここではひとまず措いておきましょう。
もう既に安田氏の問いからして的をはずしているような気がしますが隈さんもまともに答えてしまう。いきなり、何か寒々しく痛々しい感じが漂います。
安田氏の質問からしてどうしようもないという感じ。私に言わせれば、建築において内部で完結した空間なんてあり得ず、同じ意味で、外部環境との関係を無視した建築もあり得ません。あり得るといくら安田氏が言っても、ないものはない。外部環境との関係を重視している(ようである)隈さんから、そういった話を引き出すためのマクラというか誘い水としての質問と想像可能すれば理解は可能ですが、私の納得の範疇は越えてしまっています。
「建築とは外部との関係性である」と言い切ってしまう隈さんはさすがです。M2がどうなのかは別ですけど。青木淳さんは隈さんの前に載ってますが、青木さんも「建築とは存在自体である」というような事を言ってます(文脈抜きでは誤解を招く引用だな、こりゃ)。このように「建築とは〜である」と一言で言い切るのはカッコ良いですね。
閑話休題、隈さんの言い切りに戻ると。建築とは外部の関係性であると認識したところからスタートするものであり、そういう意味で外部との関係性をどうとるのかというのは、建築を考える上での前提課題みたいなもので、それを隈さんが「私の発見」のように言ってしまっては学生さんが混乱するんじゃないかと危惧してしまいます。
という訳で、冒頭、隈さんは、あたりまえのことを当たり前に言っただけということになるんですね。だんだん読む気がなくなってきますか?続きはまた今度。
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